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『なんともならないロット違いの糸を何とかしたい』で出来た傑作

おおよそですが、レディースのセーターは２５０ｇ、メンズで３００ｇ前後。もちろんサイズや着丈などで大きく変わります。１２ゲージというのが普通の厚さのセーターですが、７ゲージや５ゲージとなるともっと重くなります。あくまでも目安です。

　糸を購入する最小の単位が１ｋｇ。これはカシミヤの糸に限らずウールやコットンなどの素材も１ｋｇ巻き（コーンと呼んでいます）です。
　売るほうも買うほうも必ずチェックするのが『ロット』です。ロットとは糸を作った（紡績した）、単位とかひとくくりのことで、糸には必ず紡績のロットナンバーが記載されています。このロットナンバーを合わせないと大変なことになってしまいます。

　ウールやコットン糸などは基本的には染めたときのロットが重要ですが、カシミヤの場合はワタで染めてから（トップ染め）紡績しますので紡績したときのロットが最終ロットです。
　カシミヤのように高価な糸は最低３０～５０キロ。大きいロットでも２００キロぐらいで紡績します。このひとまとまりがロットで、ロット内での色の違いはありません。ロット違いで一番困るのが色違いで、同じ色でもロットが違うと微妙に違うのです。糸（コーン）で見比べてみても全く解らなくて同じ色だからと油断して途中から違うロットの糸で編んでも人間の目は微妙に違うことを見分けてしまうのです。人間の目って凄いですね。

　１着分３００ｇかかるセーターを３着編むとすると、３００ｇｘ３着で９００ｇです。この場合は１ｋｇで足りますが、このコーンの糸で同じロットが終わったとき、残りの１００ｇの糸を使って違うロットの糸と一緒にもう一着セーターを編もうとしても使えません。天使のストールも１枚１２０ｇかかるので編めません。返品も出来ません（当然です！）ので配色の一部で使うとか、小物を作るチャンスを待ちますが、小さなコーンがたまってきます。

　ＵＴＯでは、ロット違いの糸のロスはコストに乗せずセーターの価格はあくまでもそのセーターにかかる実貫で計算しますのでこの残糸をなんとかしなくてはなりません。最高品質の原料。１ｋｇがン万円もする糸。ロットが違うことで使えないとはあまりにもったいない。貴重で高価なカシミヤを何とか換金しなければと日々頭を絞って、出来たのが『色々色の天使ストール』です。
　小さく残った糸を、色と分量を、出来上がりを想像しながら１本の糸に繋ぎコーンに巻き上げていきます。そのときにどんな色の糸がどれくらい残っているか、どんな色の組み合わせが出来るかも楽しみです。

　巻き上げた糸で天使のストールと同じに編み上げます。当然、色が途中で変わりますが、そのつなぎ目が編地の途中に出てしまいます。気にならないという人が多いのですが、ＵＴＯのボーダーや糸の切り替えの原則は『編み端』ですのでプロパー品としては出せません。
　そこで『訳あり』の格安アウトレットのサービス品として販売することにしています。
　「次はいつ発売ですか？」と、問い合わせを頂いたり、待っていらっしゃる方もおられるほどの人気商品です。
　いろんな色の組み合わせの、世界に一枚だけの商品です。もったいないから生まれた傑作だと自画自賛しています。