カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

リンキングというニットの縫製の話(1)

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タートルネックなどのかぶりのセーターを着るとき、この小さな丸いネックの開きが布帛だったら絶対に頭が入らないだろうなあと思うことはありませんか?

目次

    伸びるニットと伸びない布帛の違い

    タートルネックなどのかぶりのセーターを着るとき、この小さな丸いネックの開きが布帛だったら絶対に頭が入らないだろうなあと思うことはありませんか?

    伸びるニットと伸びない布帛の大きな違いの一つですが、伸びない布帛ではネックの一部を開いて頭が入る状態にしてボタンやファスナーで閉じるようにしますね。

    一方ニットのほうはそのままかぶってもネックが伸び、頭が入ったら縮まりますね。
    いつも普通に行っている動作なので当然のことのようですが、それにはそれなりの仕掛けがあるのをお気づきでしょうか。そうです、ネックのゴム編みですね。このようなネックのパーツには伸び縮みさせるためにゴムのように最も伸び縮みするゴム編を使っています。
    しかしそのゴム編みも普通にミシンで縫い付けたら縫い目が固定してしまいますのでゴム地が伸び縮みしてもネックは広がりません。そこで登場するのがリンキングです。

    ダイヤルリンキング.JPG

    布帛の縫製は伸び縮みしない生地と伸び縮みしない生地をミシンで動かないように縫い付ける。一方ニットのリンキングは伸び縮みする編地どうしを縫い合わせて伸び縮みする編地のようにする縫製の方法なんです。
    ニットの世界では縫い合わせることはリンキングすることが普通ですので、ミシンで縫い合わせることを本縫いと呼んでいるくらいです。

    ちなみに頭がスムースに入る天巾は、引っぱって直径30センチ、ぐるりで60センチが目安です。

    ニットの編地を網に例えて考えると理解しやすいと思います。そんな編地を縫い合わせるにはミシンと言うわけにはいきませんね。
    そこで登場するのがリンキングです。(リキングとは英語のリンクする、繋ぎ合わせると言う意味ですので当然か)

    リンキングの方法は、ずらりと並んだリンキングマシンの針にドッキングさせる両方の編地を一本一本の針にひと目ひと目刺してつなぎ合わせるのですが、熟練のプロはいとも簡単に目を拾っていきますが、目落ちをさせないようにひと目ひと目刺すのはとっても大変です。

    何回かやらせてもらったことがありますが、これがメチャメチャ難しいんです。細かな編み目に針をさすんですから、目は寄るし、肩は凝るし、手に汗が出てくるし。素人がやったら何倍もの時間をかけてもなかなか上手くいきません。失敗して目落ちして何回もやり直したり、引っ張りすぎたりすると編目が汚くなってしまいます。リンキングこそ熟練の技です。

    リンキング刺し.jpg

    熟練の技!リンキング

    このリンキングの作業は人間が一目一目拾って刺していくしか方法がないんです。残念ながらリンキングができる熟練者が高齢化してどんどん少なくなっているのが現状で、生産が海外に移って工場が閉鎖したり倒産したりして仕事自体が少なくなって仕事が途切れた機会に止めてしまう人も多いのです。日本の貴重な財産が失われていると思います。リンキングの技術は風前の灯なんです。
    UTOの自慢は、岩手工場では20代の若い技術者がリンキングを頑張ってくれていることです。彼女達のことを話すと一様に『今どきそんな若い人がリンキングをやっているの?』と、ビックリされて羨ましがられます。

    リンキングマシンには『ダイヤルリンキング』と、『やすみ』と呼ばれる手動のリンキングマシンがあります。UTOの工場でも両方を使っています。

    ニットの仕事を始めた頃、工場さんとのやり取りの中で『いま編みが終わって、やすみやっているから』というようなことをよく聞きました。やすみってなんだろうと思ってたんですが、やすみとは手動のリンキングマシンの名称で、リンキングすることの代名詞だったんです。
    それにしても『やすみ』とは変な名前だなぁと思って、日本中の殆どの『やすみ』を扱っている圓井繊維機械に問い合わせたら、大正の初めころに大阪の淀川に住む八角さんという人が発明したものだということでした。電力の乏しい時代に軽くてスペースをとらないこの手動の機械は小規模の家内工業にはもってこいの機械で日本中に普及しいまだに活躍しています。ニット史に残る日本人による画期的な発明だと思います。

    わたしが書いています

    株式会社ユーティーオー宇土 寿和(うと としかず)

    宇土 寿和

    UTOの、宇土です。
    「ライブラリー」の記事で、ウールの宝石と言われるカシミヤニットの魅力や特徴を知っていただき、より多くカシミヤ製品を手にとっていただく機会が増えれば幸いです。