knitting編み地へのこだわり
- 目次
-
細かなゲージほど、技術の良し悪しが現れる。
ユーティーオーのインナータイプのセーターは基本的には12ゲージです。12ゲージというのは、ニットを編み立てる機械の針が1インチ(約2.5㎝)の幅の中に12本あるという意味です。
編み棒を使った手編みは、だいたい5ゲージぐらいでしょうか。
ザックリ編まれた分厚いセーターは暖かくて高級な感じがしますが、ニットのプロから見ると、細いゲージで編まれたセーターのほうがずっと難しく、細かく揃った編地に技術の良し悪しや、糸の均一さなどが顕著に出ます。特に平編みと呼ばれる天竺はきれいに揃った編み目が勝負です。ユーティーオーのセーターの編地のきれいさは自慢であり、誇りです。
セーターの編み機は、日本では一般に12ゲージ、10ゲージ、7ゲージ、5ゲージ、3ゲージ機が使われており、1.5ゲージというものまであります。12ゲージや10ゲージをハイゲージ、7や5ゲージをミドルゲージと呼び、3ゲージより粗いものを「ローゲージ」、人によっては「バルキー」と呼んでいます。
編み機はゲージの違いが決定的で、12ゲージの機械は12ゲージの編地しか編めません。ですから10ゲージは10ゲージの機械、5ゲージは5ゲージの機械と各ゲージの機械を用意しなければなりません。
優れたリンキング技術も、ユーティーオーの自慢。
リンキングは、伸び縮みする編地どうしを縫い合わせて伸び縮みする編地のようにする縫製の方法です。リンキングの作業は、人間が一目一目拾って刺していく方法しかありません。全て職人による手作業です。しかし残念ながら、リンキングができる熟練者が高齢化でどんどん少なくなっているのが現状で、生産が海外に移って工場が閉鎖したり倒産したりして、仕事自体が少なくなって仕事が途切れた機会に止めてしまう人も多いのです。日本の貴重な財産が失われていると思います。リンキングの技術は風前の灯なのです。
ユーティーオーの自慢は、岩手工場では20代の若い技術者がリンキングを頑張ってくれていることです。ニット業界の方に彼女達のことを話すと、一様に「今どきそんな若い人がリンキングをやっているの?」と、ビックリして羨ましがられます。
縮絨の度合いをかるくしたり強くしたりの加減で風合いや寸法が全く変わってしまいますし、その縮絨も元の糸の撚り方の強弱でも違いが出ます。もちろん編地の詰まり具合(度目)の違いでも大きく変化します。「こんな風合いのカシミヤセーターにするには、この程度の縮絨が必要。それにはこの糸でこの編地なら何パーセントの縮が出るのでこれだけの幅に編む」といった具合です。
厳密に言えば、編み立てる時の天候にも左右されます。雨の日、晴れて乾燥した日、冬の寒い日。特に湿度には敏感ですから調整しながら編んでいきます。熟練の職人さんやプログラマーさんたちはその日の天候で室内の温度や湿度を調整しながら作業をやっていくのです。
いろんな条件で熟練した人は編み機を何回か動かしただけで今日は軽いとか重いとかわかるようです。