カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

texture風合いへのこだわり

目次

    風合いを生かすための「トップ染め」。

    カシミヤに限らず、繊維は、綿の状態で染めたり(トップ染め)、糸で染めたり(糸染め)、製品にしてから染めたり(製品染め)。目的によって染め方が違います。
    流行によって目まぐるしく変わる色は、早い工程で染めるほど染め直しができませんので、在庫リスクは高くなります。閑散期に生成りでセーターを作って、シーズンに入って色の傾向が判ってから染めれば絶好のチャンスを掴むことができますね。この夢の話みたいな製品染めを完成させたのが、イタリアのメーカーのベネトン。これがベネトンの大躍進のきっかけでした。革命的だったと思います。しかし、繊細な素材であるカシミヤは、そんな大胆な方法では風合いが台無しになってしまうので、不可能なのです。

    風合いを決める縮絨(しゅくじゅう)

    ユーティーオーに置いてあるカシミヤの糸をご覧になって「へぇー、これがカシミヤの糸ですかぁ」といいながら手にとると、「エェッ、これがあのカシミヤですかぁ?!」と、殆どの方がビックリされます。糸や編みあがったばっかりのカシミヤセーターの編地は、あのふんわりのカシミヤとは想像もできないほどガサガサの肌触りですから無理もありません。

    編みあがったカシミヤセーターは縮絨(しゅくじゅう)という作業をします。 カシミヤをはじめ紡毛といわれる素材にとってこの縮絨は大変重要な作業です。方法はなかなか説明しにくいのですが、乱暴にいってしまうと、セーターを洗ってやるのです。
    勿論普通に洗うだけではありませんが、知識と高度な技術と熟練が必要です。洗いながら糸の間を水が通ることによって、紡がれて中に撚り込んでいるウブ毛を表面に立てるのです。もちろん、普通に洗うだけではなく、知識と高度な技術と熟練が必要です。

    縮絨の際に、若干の縮みが発生します。そのため、カシミヤセーターを編む時には、できあがりの寸法を想定して大きめに編んでいかなければなりません。この頃合いが難しいのです。ですから、セーターを編み始める前には同じロットの糸である程度の大きさの編地を試編みし、縮絨して縮み具合を計算して、編み上げる寸法を決めてから製造にうつります。

    縮絨の度合いをかるくしたり強くしたりの加減で風合いや寸法が全く変わってしまいますし、その縮絨も元の糸の撚り方の強弱でも違いが出ます。もちろん編地の詰まり具合(度目)の違いでも大きく変化します。「こんな風合いのカシミヤセーターにするには、この程度の縮絨が必要。それにはこの糸でこの編地なら何パーセントの縮が出るのでこれだけの幅に編む」といった具合です。

    厳密に言えば、編み立てる時の天候にも左右されます。雨の日、晴れて乾燥した日、冬の寒い日。特に湿度には敏感ですから調整しながら編んでいきます。熟練の職人さんやプログラマーさんたちはその日の天候で室内の温度や湿度を調整しながら作業をやっていくのです。
    いろんな条件で熟練した人は編み機を何回か動かしただけで今日は軽いとか重いとかわかるようです。

    永く着てほしいから、しっかり目の風合いに。

    できあがりの風合いや柔らかさなども各々好みがあります。一般に英国はしっかりした編地で着ているうちに柔らかさが出るようなカシミヤを好み、日本やイタリアでは触っていかにもカシミヤタッチの柔らかめが好まれるようです。ユーティーオーは英国と同じしっかり目です。

    縮絨したカシミヤは乾燥させます。今では乾燥機を使って短時間で乾燥させるのがほとんどですがユーティーオーはすべて自然乾燥です。自然乾燥は時間も手間も掛かりますがカシミヤにとっては最も優しい方法だと思います。