カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

カシミヤの故郷へ(3)世界一のカシミヤができるまで

採毛・収穫されたカシミヤ(カシミア)が現地のプロたちの手によって世界最高峰のふわふわのカシミヤ素材になるまでの行程を体験いたしました。

目次

    カシミヤの故郷へ(2)カシミヤ牧民一家の仕事にふれる

    収穫の喜び

    採毛・収穫されたカシミヤ(カシミア)

    こんな大きな袋に詰め込んで
    あのふんわりのカシミヤからは程遠いが
    これが一年の実りだ

    収穫.JPG

    集荷場に持ち込まれたカシミヤ

    凄い量だけど
    よくこんなに大きな荷物を
    どうやってここまで来たんだろう

    牧民の逞しさを思い知る

    収穫の後は商売商売

    集荷人.JPG

    呉さんはカシミヤの原毛の買い付け人

    カシミヤ牧民から買い集めるのが仕事
    牧民よりずっと裕福そう

    『収穫期の5月だけで仕事するの?』
    『それでこんなに裕福?』
    『良い商売だね!』
    『冗談!冗談!』と言ってたけど、まんざらではなさそう


    世界一のカシミヤ

    プロ達がまず見るのが
    しなやかさ

    見てください!.JPG

    まず、ムンズとつかんで
    つかむと弾力でしなやかさの善し悪しが解るらしい

    土毛のチェック.JPG

    毛あしの長さは必ずチェック

    この長さ.JPG

    平均40ミリあると最高級
    これは100ミリぐらいはある
    なんという毛あしだ!

    ここは世界最高峰のカシミヤの産地
    ド素人の僕でも実感する


    凄い量のカシミヤ

    集荷されたカシミヤの山
    凄い量だ!

    カシミヤではち切れそうに膨らんだ袋
    圧倒される量
    内モンゴル中のカシミヤが集まったかと思う
    カシミヤとは思えない

    人もカシミヤで埋まりそう
    いろんな牧民から集めたので、袋はまちまち

    開くとはじけるように袋からあふれ出るカシミヤ
    土埃が付いているので黄色がかっているが本来のうぶ毛は真っ白
    やはり匂がします
    でも、思ったほどの匂いではありません
    多分、空気が乾燥しているからでしょう

    これが世界最高峰のカシミヤ!

    開封されたカシミヤ原毛
    飛びこんだら気持良さそう
    でも匂いが・・・

    今から加工されて
    世界有数のブランドカシミヤになる

    凄い金額だろう!
    ン 億円?!


    地道な土毛の整理

    牧民の手を離れたカシミヤ土毛は
    整理作業に

    一年荒野を走り回ったカシミヤの毛にはいろんなものが付いている
    土はもちろん
    草木の葉や皮など

    大勢の女性が手で
    カシミヤの毛の中に紛れ込んでいる塵を取り除きます

    気が遠くなりそうな大変な作業だ!
    完全武装しないと毛が飛ぶ

    黙々と作業する彼女達はとってもシャイ
    でも、目が合うとニッコリ笑ってくれる

    こんなに沢山の人がいるのに
    とても静か



    地味地な作業だけど
    この地域の人たちにとっては貴重な現金収入の機会で
    貴重な仕事だそうです
    特に文盲の人たちにとっては大事な仕事で
    州政府でも注目しているそうです

    と言っても
    先進国でこの仕事をやってくれる人はなかなかいないでしょう


    1年分の汚れを落とす

    洗毛工程

    春、昨年の毛を梳いてさっぱりしたカシミヤ
    産毛は一年で十分の長さに成長しますが
    一年間の汚れが付いています

    塵や枝などを整理したら毛を洗います

    50メートルぐらいのラインで何回も何回洗います

    最初は真っ黒
    殆どが土だそうです

    4~5回の洗い
    洗浄するうちに白さが戻ります

    ほぼ洗い上り
    脱水するとカシミヤらしく

    洗い上がり乾燥されます
    出てきた毛は真っ白!!

    次の工程は整毛工程です!


    カシミヤ独特の整毛

    カシミヤのわた作りの最後は
    整毛
    整毛はカシミヤ独特の加工工程です

    洗いが終わったカシミヤの毛
    堅い剛毛(刺し毛)と、うぶ毛を分ける工程
    技術的にも最も難しい

    分けられたうぶ毛はわた菓子の様です
    嬉しくなるぐらい軽い
    ふわふわ

    整毛上がりのわた
    これが世界のトップ紡績に輸出されます


    厳しい原毛検査

    整毛が上がるとまず検査

    刺し毛と呼ぶ剛毛の混率を調べます
    刺し毛が許されるのは、0.1%以下
    うぶ毛率が99.9%以上でないといけません

    黒い紙の上でうぶ毛と刺し毛を
    人の目で
    うぶ毛を、ピンセットで一本一本選別

    息を詰めて
    かなり疲れる仕事



    データはとても大事
    データを書く人がいるのに驚き
    厳重なのか、人に余裕があるのか、

    最終製品を作っている者として
    セーターという製品が出来あがった時に
    最終的に刺し毛が無いかを慎重にチェックします。
    ここまでやってもゼロという訳にはいきません。
    カシミヤは天然繊維ですから
    だからセーター製造でもピンセットは欠かせません。

    こんなに厳しく生産管理されるカシミヤだから
    巷で問題になるカシミヤの混率問題
    1%以上ものカシミヤ以外の毛が入るなんて
    人為的以外は考えられないのです


    最も大事な毛の長さ

    カシミヤの繊維長っていうけれど
    あの細いカシミヤのうぶ毛の長さをどうやって測るのか?想像もできませんでした!

    百聞は一見に如かず

    カシミヤの繊維長は、品質、価格を決めるうえで最も大事な要素です
    品質の高い長繊維のカシミヤでも
    高度な整毛技術がないと繊維がずたずたになってしまいます

    なかなかこの検査のところまでは見せてもらえないそうですが・・・。

    良い原料と優れた技術
    カシミヤ、ニットを好きで、お客様に良い製品を届けたいという心
    最後まで繋がってやっと良い製品が出来る事を実感します

    カシミヤって面白い!!!

    わたしが書いています

    株式会社ユーティーオー宇土 寿和(うと としかず)

    宇土 寿和

    UTOの、宇土です。
    「ライブラリー」の記事で、ウールの宝石と言われるカシミヤニットの魅力や特徴を知っていただき、より多くカシミヤ製品を手にとっていただく機会が増えれば幸いです。