カシミヤ・ニットの洗濯・クリーニング
カシミヤ(カシミア)やニットはクリーニングに出さないとダメと思われている方が多いですが、自宅で手洗いや洗濯機で洗うことをおすすめしています。
洗い方の手順や注意点、干し方や保管方法などをアドバイスいたします。
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カシミヤ製品は家で洗濯できる?
「カシミヤは絶対クリーニング」と思い込んでいる人が案外多いようです。
「2~3回着たらクリーニング屋さんに出さなきゃならないんでお金がかかるのよねぇ」という声を度々聞きます。軽くてふわふわのカシミヤニットは弱々しく、また高価だし、縮んだりするのが心配でクリーニングに出してしまうのは当然かもしれません。
でも直接お会いした人には説明してご自分での手洗いを勧めています。これから説明する通りに洗ってあげると縮んだりすることはありません。大事なカシミヤニットだからこそ自分で洗ってあげてください。
手洗いをおすすめする理由は「洗う度に味わいが出る」ところ。 洗って着続ける事で柔らかくいい状態になるカシミヤ素材。UTOでは「カシミヤを育てる」と表現しています。天然素材の特長を知り上手に付き合うことも“贅沢”な時間として楽しんでいただけるのではないでしょうか。
カシミヤ製品の洗濯の手順とポイント
1. 洗い桶に水を貼る
常温の水でオーケーです。
ポイントは
「水の温度が高いと縮みやすい」
「洗う時間が長いと縮みやすく毛羽が立ちやすい」
「一緒に洗うものが多いと縮みやすい」
ということです。
よく「洗濯は、ぬるま湯で」という人がいますが、水の温度は常温で十分ですし、洗剤さえ溶ければ少々冷たい水でもかまいません。
2. 洗剤を投入
ウール洗い用洗剤を入れてよく泡立ててください。
ウール洗いの洗剤やシャンプーで短時間押し洗いする程度で普通の汚れは取れるはずです。シャンプーは使えるの?とおっしゃる方もいらっしゃいますが、髪もカシミヤも元々はたんぱく質、シャンプーは洗剤に比べると高価かも知れませんがご自分のシャンプーでも洗っていただけます。
ニットの糸は布帛に比べると撚りはあまいし、編地も布帛の打ち込みに比べたら比較にならないくらい疎ですので汚れも取れやすいんです。
3. 洗い
手洗いの場合
軽く「押し洗い」又は「振り洗い」します。
洗濯機の場合
縦型洗濯機の場合は機種によって呼び方が異なりますが、「手洗いモード」「ドライコース」「ソフトコース」「デリケートコース」「おしゃれ着コース」などがあるようです。
ドラム式洗濯機の場合は多めの水で泳がせるようにやさしく洗う「揺り洗い」で。
洗い方の注意ポイント
摩擦に気をつけてください。一枚ずつ短時間で押し洗いすることです。しかも優しく。ネットに入れて、洗濯機の手洗いモードでも大丈夫です。
他の沢山の洗濯物と一緒に洗うと、縮みや毛羽立ちの原因にもなりますので、ご注意ください。
もうひとつ注意してほしいのが、この頃流行の斜めドラムです。洗濯の方法がドラム内で叩きつけながら汚れを落とすタイプは繊維が傷つきやすいのでやめてください。
目立つ汚れは…
部分的な目立つ汚れは指でもみ洗い、それでも取れない汚れは汚れと言うより染みと思ってください。たんぱく質が変化してシミ化したものは洗濯の範囲を超えた専門家の領域ですので、がんがん洗っても取れません。
4. 柔軟剤で油分を補給
一度すすいだ後は、柔軟剤などで油分を補給します。
柔軟剤の代わりにリンスでもOKです。洗剤で汚れと一緒に取れた油分を補充して繊維を保護してあげるんです。髪もウールも基本的には同じですから。
5. 脱水
脱水機で完全に水気を取ってください。「エ・エッ!脱水機で!?」と驚く人が多いんですが、そう、脱水機です。
勇気を出して脱水機でまわしてください。もちろん、キチンとたたんであげてくださいね。
脱水機の中のセーターはドラムに張り付いて遠心力で水分を飛ばすのでタオルなどで絞るよりずっと繊維には優しい脱水方法ですよ。
6. 洗濯の後の整え
洗う前のセーターの寸法に伸ばして寸法を整えてください。
7. 干し方
風通しのよい日陰で平干しし、自然乾燥します。
半絞りの状態でハンガーなどで吊るして干すと、水分が下のほうに溜まってその重みで伸びてしまい、乾くとその伸びた状態が定着します。不味い干し方の典型です。
網などの上が一番良いんですが、バスタオルの上なんかでも良いでしょう。半日ぐらいでひっくり返してバスタオルの位置を変えてください。そうしないとセーターの下はかなり水気がありますよ。風通しのあるほうが乾きやすいで扇風機などの風を当てると早く乾きます。
乾燥機について
乾燥機に入れると熱風でフエルト現象を起こして子供用みたいに縮んでしまいますので熱風乾燥機は厳禁です。これはウール特有の現象で、フエルトの作り方がこの方法ですから縮まないはずがありません。
8. 洗った後の保管方法
風通しのよいところでしばらく放置してから、防虫剤と一緒に保管します。
カシミヤといえどポイントさえ守れば普通の手洗いで何の問題も起きません。 もしこの方法で我がUTOのカシミヤ製品が縮んだら新しいのと交換するか代金をお返しします。
この方法をお教えして皆さんふんわりあがったと喜んでおられて失敗したという話は聴いたことがありません。
皆さんも自分で洗ってあげてもっともっと着ていただいてカシミヤのよさを楽しんで下さい。
洗う際の注意点
- 常温の水でも洗剤が溶ければかまいません。
- 洗いと脱水は必ず1枚ずつ短時間で優しくおこなってください。(洗濯ネットの利用も可能)
- 長時間の洗いや複数で洗うと摩擦で縮みの原因になります。
- 洗濯機(ドラム式以外)手洗いモードでも可能。
- 洗濯機で脱水します。手絞りはしないでください。摩擦により縮みの原因となります。
- 平干しで自然乾燥が基本です。乾燥機は厳禁。