カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

ニットについて

「ニット=セーター」のことだと思っていませんか?
そもそもニットとは何なのか、歴史や特徴などニットの基礎知識をまとめました。

目次

    そもそもニットとは

    そもそもニットとはなんでしょう?セーターはもちろん、ニットですね。Tシャツなどのカットソーも、ニットです。あとはソックスや手袋もニットですね。ニットでないものに、ジャケット、スカートやパンツ、ブラウスやシャツ、コートなどがあります。これらは、ニットではなく、布帛(ふはく)といいます。
    ニットは、生地が「ループ状の編地」になっているもの。太いとか細かいという違いがあっても、編地がループ状になったセーターやTシャツはニットです。ループ状ですから「伸び縮み」します。この伸び縮みがニット最大の特徴で、体の動きにあわせて生地が伸び縮みがするので着ていても楽なのです。
    ニットの編地に対して布帛の織地は、縦糸に横糸を交差させながら織るので伸び縮みしません。ということは、安定した布ができるということです。(織物の中にスパン糸を織り込んで伸び縮みのするものもありますが)


    ニットの歴史

    ニットはアラビアの遊牧民によって編まれたのが起源だといわれています。羊飼いが自分が飼っている羊の毛を糸にして、その毛糸玉をポケットに入れて道端の石に腰掛けて羊達を見守りながら編んでいたんでしょうか。緑の草原に羊を追いながらの手仕事。のどかな情景が浮かんできますが、もしそうだとすると、ニット作りは男の仕事だったんでしょうか?

    ニットの基本は手編みです。手編みで編めないものはないといわれるぐらい手編みは万能です。手編みは2本の編み棒でひと目ひと目編まれていきますが、編み進んでいくループ状の目は横のほうに増えながら編地ができていきます。その手編みを発展させて機械化したのが横編み機です。機械に並んだ針一本一本が編み棒の編む役目を果たします。この様にして編まれるのがセーターです。


    ニットの編み方と特徴

    ニットには沢山の編み地がありますが、基本は何と言っても天竺(てんじく)編みとゴム編みです。
    業界では天竺といっていますが、天竺というのは「平編み」のことです。
    天竺には表目と裏目があり、表目は縦に編地が並んで軽快で目づらが揃って、光沢性に富む編地です。
    特にカシミヤなどの細かいゲージでは、いかに均一に揃ったきれいな編地にするかが勝負です。裏目は横に編地が並んでいて表面よりは疎に見えるのでちょっとカジュアルに見えます。
    フランスのデザイナーのソニアリキエルはこの裏目が好きなようでよく多用し、特に彼女の得意なボーダーなどは殆ど裏編みを使っていますよね。

    ニットの編地の横端を「みみ」と呼んでいますが、天竺は表と裏の編み組織が違うことでみみの部分が丸まろうとする習性があります。セーターになった状態では両脇や袖下が縫ってあるので判りませんが、編んだばかりの編地を平面に置くと、両側からクルクル丸まってきます。この特徴を生かしたのが袖口や裾のロールです。編み出しから何にもしないで編むとロールになってしまうので、通常は裾や袖口の編み始めにゴム編みや袋編みにすることで丸まるのを防いでいるんです。

    ゴム編みは伸び縮みをする裾や袖口で活躍する編地です。
    オーソドックスなセーターは、このゴム編みと天竺の2つの編地を組み合わせて編まれているケースが多いと思います。裾や袖口のリブ部分が5〜6センチのゴム編みで始まって身頃はすべて天竺編みというやつです。電話なんかで話をしていて「普通のセーターなんです」と言われるときは大体この手のリブがゴム地で大半が天竺という編地のセーターのことだなぁと想像しています。衿にもゴム編みをよく使います。特にタートルネックなどは、頭が入るほど広がって細いネックに収まるというニットならではの素晴らしい伸び縮み具合です。

    ゴム編みはいろんな種類があります。
    横編機の前後の針を一本一本を交互に使って編む1×1(いちいち)、三本ずつを交互につかう3×3(さんさん)など、針立てで見え方も伸縮性も変わってきます。一般に数が多いほど伸縮性はなくなっていきます。
    総針といわれる編み方で、専門的には編機の前方と後方の総ての針で編む編地まであります。
    お手元のセーターのゴム編みを見ていただけると判ると思いますが表になっている山と裏のほうの山を数えてみると1×1なのか3×3なのかすぐわかると思います。
    ただ、2×1か2×2かは見た目も同じで殆ど見た目では分りませんし、説明も難しいんです。というより僕自身がきちんと理解しているかどうかも自信がありません。それほど2×1か2×2なのかは難しいんですが、僕のレベルではあんまり関係ありませんので編みのプロにお任せです。

    もうひとつ、袖口や裾の代表的な編み始めが「袋編み」です。
    袋編みは裏表をつまんでみると二重になって袋状になっているのが分かると思います。手編みや家庭機ではなかなか出来ない編み方です。ゴム編みの代わりに編み出しで使うケースが多く、編み目が細かく整っているのですっきりした印象になります。ユーティーオーのベーシックシリーズの一部は裾や袖口、衿はこの袋編みです。
    インナーとしての着用を想定した場合はジャケットなどの下に着用したときに裾や袖口を一番細くすっきりして見えるようにこの袋編みをよく使っています。

    他にもいろいろな編地があります。畑の畝のような「畦編み」、連続したひねりで縄模様を表現する「縄柄(ケーブル)」、「レース柄」。多色や絵柄ができる「インターシャ」や「ジャガード」等々。いろんな編地を組み合わせることで、無数の表現が可能です。


    まとめ

    ニットは伸び縮みのする「編み地」で、布帛(布帛)は伸び縮みのない織り地です。

    わたしが書いています

    株式会社ユーティーオー宇土 寿和(うと としかず)

    宇土 寿和

    UTOの、宇土です。
    「ライブラリー」の記事で、ウールの宝石と言われるカシミヤニットの魅力や特徴を知っていただき、より多くカシミヤ製品を手にとっていただく機会が増えれば幸いです。