トレイルエンドモーテル
ワイオミング・USA
30年前アメリカを一周した旅の後半のことです。早朝にシカゴからソルトレイクシティへ飛び、空港のエイビスでフォードのトーラスを借りました。
ここから長年の念願だったイエローストーンを始め、カナダのカルガリーからカナディアンロッキーを巡りバンクーバー、シアトルを訪れてソルトレイクシティにもどる旅でした。
今日はどこまで行けるか北へ向かって車を走らせました。砂漠のようなユタ州からアイダホ州に入ると地平線まで続くジャガイモ畑に啞然。「これがマックポテトの源か?とおしゃべりしながら、行けども行けども続くジャガイモ畑を走ります。
ワイオミング州が近づいて来ると空模様が怪しくなり、州境を過ぎる頃にガソリンが少なくなって宿を探すことにしました。
街の名前を憶えていないで記録もないのが残念ですが、まさに西部劇の映画に出てくるセットのような田舎の街のトレイルエンド モーテルという宿に泊まりました。
「どん詰まりの宿と言うんだろうね!」と、言いながら今にもカーボーイハットのガンマンがドアを蹴って開けそうな簡素な宿に車を止めました。
部屋はツインベッドにトイレとシャワーだけというシンプルさ。それでもさすがにアメリカ、ベッドはセミダブルで日本のダブルベッドぐらいはあります。
ニコニコ顔の愛想の良い親父さんに迎えられて前払いを済ませます。料金は一部屋25ドルだったと思います。安い!と喜んだことを覚えています。
明日は朝早く出ると伝えると、「何時に出ても良いよ!鍵をベッドの上に置いておいてね」とウィンクし、「俺は寝てるから」と、いかつい親父さんが両手をほほの横に合わせるしぐさが可笑しくて可愛い。アメリカと言えどやはり田舎は大らか。親父さんの表情がとっても印象的でした。
夕食はヴィクトリアステーキバンクという名のカフェ兼レストランを親父さんに紹介してもらいました。名前の通り昔は銀行だったというレストランは、ド田舎の街の通りは閑散としていた割にはとっても賑わっていました。たばこの煙が濛々の店内にはミラーボールもあってダーツをやっている人もいて、西部劇の映画に出てくる田舎のレストランと同じ雰囲気で嬉しくなりました。
当時日本では高価でなかなか食べられないステーキ。Tボーンステーキが安くとっても美味しく大満足。街の名前と写真がないのが返す返す残念です。
早朝に出発しグランドティトンへ向かいましたが、あいにくの霧でティトンの山々は見ることが出来ませんでした。昔視た映画のシェーンの光景をどうしても見たくて翌日イエローストーンレイクから引き返しシグナルマウンテンに登りました。
山頂からの見晴台では凄い景観が待っていました。スネークリバーに沿った大湿地と奥にそびえるティトンの険しい山々。快晴のティトンは絵に見たとおりでしたが絵では決して実感できない広がりと迫力でした。