UTO(株式会社ユーティーオー)

ツアーのホテルの予約が取れてません

 がっちりマンデーという番組で、元旅行屋からの転職で、変わった旅行をやっていたことが番組で紹介されたので、昔の旅行屋の経験をたびたび聞かれるようになりました。

 旅行屋時代は1970年代で20歳代の多感な時でしたので、とっても貴重な経験をさせてもらいました。あんなことがあった。こんなこともあった。だから今があるといえるのかもしれません。

 

 アフリカのナイジェリアでホールドアップにあって、その後クーデターが起きて這う這うの体でナイジェリアからケニアへ逃げた話は「がんばれ大風呂敷旅行屋」という小説に書きましたが他にも頭が真っ白になるほど戸惑ったことがあります。それは20名のフィリピン・マニラへの社員旅行の添乗員でのことです。

 

 出発当日、成田がまだない時代の羽田空港。
飛行機へのチェックインを済ませ、お客様は出国手続きへ。いざ自分も出国手続きというときに、フィリピンの国内の手配しているインバウンドの担当者が来て言いにくそうに私に言いました。

 「スイマセン!実は今日のマニラのホテルが取れていないんです」と。

 このツアーは2月の寒い日本を飛び出して、暖かいフィリピンで最近オープンした最高級のフィリピンプラザホテルに泊まる4泊5日の旅です。フィリピンからの連絡によると、今日だけではなくツアー最後の1泊しかとれていないというのです。

 

 この時期は中国の旧正月で東南アジアの華僑の人たちが一斉に動くので、
あらかじめ何度か「大丈夫?」と予約の確認をしていたのです。
そのたびに「予約は取れてますから大丈夫です!」という返事でした。
それが出発前日の夜に、「ホテルから、オーバーブッキングで部屋がない」という連絡が来たそうなんです。

「部屋がない!今日も!?」
「ハイ、スイマセン!」
「今現地がマニラの方々を走り回っています」と深々と頭をさげるのです。
「今から飛行機に乗るんだよ!」と、絶句です。

 今から出発。お客様は出国手続きを終えて免税店でお買い物。寒い日本を出て暖かいフィリピンで泳ぐ5日間の休日でウキウキ。今更、ホテルがないといわれてもどうしたらいいのか方法が全く浮かびません。24歳の添乗員は頭が真っ白でした。

 マニラへ向かう機内で、皆さんにホテルの部屋が取れていないことを告げるべきかどうか?針のむしろのような気分でした。今思い出しても冷汗が出ます。

つづく

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