1993.10 ルネサンスの花が開いた街
* カシミアおやじのたわごと *
知人や友人で、イタリアに行く人がいたら、「チャンスがあったら絶対に行った方が良いよ!」と押し売り的に勧めるところがフィレンツェ。英語読みでフローレンスで花の都と(きれいな名前ですね)言う意味。学生時代に習った、ルネッサンスの花開いた、あの芸術の都フィレンツェです。ローマとミラノの丁度中間にあり、どちらからも三時間ぐらいで行ける距離です。
なぜそんなにこの街が気に入っているかと言うと。花の聖母寺院(ドゥオーモ)という美しい寺院を中心に、建物や広場、狭い石畳の通りなど、街全体が中世そのままに残されていて、その通りを歩いていると、なんだかその時代にタイムスリップした様な、いい気分になれるんです。しかも建物の中はもちろん現代そのもので、アルマーニの店もクリッツァの店も、ここが発祥地で本店を構えるグッチも全く違和感なく、ピッタリと現代のこの街に収まっているんです。
フィレンツェの街を一望に出来る丘にあるミケランジェロ広場。ここから見えるフィレンツェの街は、石造りの建物に赤レンガ屋根、ひと際大きなドゥオーモのドーム。足元をアルノ川がゆったりと流れ、そこにはポンテヴェッキオという屋根の付いた古い橋が架けられています。この景色はまるで天才画家が描いた偉大な芸術作品のようです。
この街は何処へでも歩いて行けるぐらいのこじんまりした街ですから、ちょっと歩いただけで、ミケランジェロやレオナルド・ダヴィンチ等の天才作品に、糸も簡単に出会ってしまいます。それらの芸術作品が、現代にとっても自然に調和しているんです。
フィレンツェで最も有名な美術館。ウフィッツィ美術館に収められた作品も、単に展示されているというより、オーナーが以前からずっとそこに掛けて、生活の一部として毎日使っている雰囲気なんです。
ここで最も印象深いのがボッテチェッリの‘春’(プリマベーラ)です。
この絵との出合いは本当に突然でした。何も知らないでこの絵のある部屋に入ったのですが、正面に大きなこの‘春’の絵が目に入ったとき、さすが鈍感な私でも足が震えるほど感動してしまいました。
ガラスも何も遮るものがなく、人間が画いたとは思えないぐらいスゴイ名画が、いきなり私の前に現れたのですから、もうビックリです。そしてふと気が付くと、横の壁には海から生まれた‘ヴィーナスの誕生’が掛けられているのです。
これだけ見られただけでも、フィレンツェまで来たかいがあります。 ここフィレンツェ近郊は、イタリアの中でもニットの産地として有名な処です。世界で最初にニットのギルドが作られたのも、ここフィレンツェだそうです。