ホテル ラッセルスクエア ロンドン・英国
初めてロンドンに行った時に最初に泊まった印象深いホテルです。
名前の通り、ラッセルスクエアーという街中の四角い公園に面して建てられています。
緑の芝生があって、花壇には花が咲いて、ベンチがあって、上から大きな楡の樹やカエデの樹が日影を作っている。
ロンドンで頭に浮かぶのはまず公園の素晴らしさ。ロンドンはセントラルパークやハイドパークなどの大きな公園も素晴らしいですが、街中にこんなに広いスペースの小公園があるなんて英国の豊かさや文化の高さを実感した公園です。
トラファルガー広場やピカデリーサーカスのような重厚な光景に接したとき以上にヨーロッパの底力を感じました。
ホテル ラッセルスクエアーは石造りの英国的の伝統的な建物で街になじんでいます。
その後ロンドンを訪れるたび、ラッセルスクエアーの近くを通るとこのスクエアーを思い浮かべます。
チューブと呼ばれる地下鉄の駅
ラッセルスクエアー駅はかなり深い駅で木製のエスカレーターががたがたと言いながら動いていました。そんなに広い幅ではないので真中に立って両手でベルトをつかんでいました。
肩を叩かれて、振り向くと怖そうな顔の叔父さんが左に寄れと言います。
あぁ、急ぐ人の為に右を空けるんだと気づきました。
今では東京のどこでもこれと同じで常識だと思いますが、40年前にはとても新鮮な驚きでした。
この時に苦い思い出があります。
ロンドンに行く機会があったらと長年決めていたことがありました。
それは紳士の国ならのステッキに出来るような細い傘を買って帰る。それを初めての英国旅行の思い出の品にしようと思っていました。
田舎のお上りさんよろしくリーゼントストリートの厳めしい店で念願の傘を買ってステッキになるかっこいい傘だと自分では思い込んでいました。
たぶん1万円ぐらいだったと思います。当時私の給料が6万円ぐらいでしたのでかなりの出費でしたが、長年の念願がかなった喜びでいっぱいでした。
しかし、この傘をロンドンの空港で置き忘れてしまったんです。
結局、一回も使わず長年の夢はあえなく消えました。それ以来ほとんどお土産は買わなくなってしまった苦い経験です。
でも、その時の販売の叔父さんはいまでも思い出します。
それは自分の父親ぐらいの年配者で、とても丁寧で、それでいて威厳があり、きちんと対応してくれた姿勢に感心しました。まさに販売のプロだと思いました。