ベビーカシミヤ
カシミヤから一生に一度の贈り物
春、内モンゴルに雪解けの春が訪れると、カシミヤヤギの厳しい寒さを守ってきたやわらかな産毛が、自然に抜け落ちていきます。この時期は「換毛期」と呼ばれ、カシミヤ牧民たちの収穫の喜びの時です。
牧民たちはその毛を刈り取るのではなく、櫛でそっと梳き取り、丁寧に集めます。そのため、動物にも自然にもやさしい採毛方法として、世界的に高い評価を受けています。
この作業から生まれるのが、「ウールの宝石」と呼ばれる天然繊維、カシミヤです。
その中でもさらに特別なのが「ベビーカシミヤ」です。
生後一年に満たない子ヤギが初めて迎える春、その一度きりしか採れません。
一頭から採れる量はわずか20〜30グラム。大人のカシミヤヤギの5分の1以下です。
繊維径は13ミクロン前後と極めて細く、肌に吸い付くようなしっとりとしたぬめりと、羽のような軽さを持っています。
赤ちゃんの産毛のようにやわらかく、触れた瞬間に誰もが驚くほどの心地よい繊維です。
原料のほとんどは中国・内モンゴルの限られた地域。世界全体でも年間わずか100トン前後という、ごく希少な素材です。このため、ベビーカシミヤの原料価格は一般的なカシミヤの何倍にもなります。
希少性と繊細さから、ベビーカシミヤの供給をうけるのは、世界独占契約の、イタリアのロロピアーナ社とUTOに供給する日本の東洋紡糸工業だけです。
糸の段階からすでに別格の存在であり、量産には決して向きません。
だからこそ、私たちUTOはこの素材を“効率ではなく感動で作る製品”と位置づけています。
この尊い原毛を、岩手・北上の職人たちがお客様のオーダーを受けてから一枚ずつ丁寧に編み上げます。
編み目のテンションや縮絨の加減は手の感覚が大事です。もちろん仕上げは自然乾燥で糸本来のぬくもりを生かしています。
この工程によって、空気を含むような軽やかさと、肌に寄り添うやわらかさが生まれます。大量生産では決して再現できない、日本の職人ならではの感性と精度です。
すでに上質なカシミヤをお持ちの方も、「これがベビーカシミヤなのか」と思わず口にしてしまうほどの、別格のやさしさで新しい驚きをもたらしてくれると信じています。それは単なる高級素材というだけではなく、自然と動物と人間がウィンウィンで生きる姿の結晶です。
世界に誇れるUTO自慢のベビーカシミヤ。是非一度手を通してみてださい。

