カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

カシミアか? カシミヤか?

素材表示は洗濯の時にとっても大事

 貴方はカシミア派ですか?カシミヤ派ですか?どっちでもいいようなものですが、私はずっとカシミアを使ってきました。

 1992年に、ここ東京青山でニットメーカーを創業して以来ずっとお客様(婦人服店)に向けてこの通信を書いてきました。その通信の中でニットやカシミヤのことを知ってもらい弊社のニット販売に役立ててほしいという思いがあり「カシミヤとニットの話」というコーナーでカシミヤという素材、糸の製造にまつわる紡績の話、製品の出来るまで製造のこと等々を書いてきました。

 通信を書き通づけて10年以上が経った2005年のある日、業界新聞の繊研新聞社の阿部さんから電話を頂きました。
 私が前職のニットアパレルにいる頃からの知り合いで通信を送っていたのです。10年の間に阿部さんは繊研新聞社の常務さんに出世されていました。

 「今まで10年間出していた通信の中の『カシミヤとニットの話』はずっと読んでいますよ。随分と溜まってきたと思うので本にしませんか?」という有難いお話でした。
 「私でいいんですか?」とお聞きしたら、「宇土さんの通信は偏りがなくニット全般を書いてあるので貴重なんです」という事でした。
 各分野毎、原料の専門家、糸の専門家の中でも染、や紡績、製造のニッターさんなど広い範囲に及ぶので広範囲でカシミヤとニットのことをわかりやすく書いているというお褒めの言葉を頂きお受けすることにしました。

 その時までカシミヤのことはずっとカシミアと書いてきました。それまでにたまった原稿を繊研新聞社の編集の方にお渡しすると、「今はカシミヤに統一されているので、カシミヤにしてください」ということで、カシミヤという表記を知りました。
 カシミヤよりカシミアの方が慣れているし、イタリアはイタリヤとはあまり読まないし。普通aで終わるのはアだと思っていました。何となく違和感がありましたが決まったことは仕方ありません。カシミヤに慣れるしかありません。


*法律や基準について

 日本では、衣料品の表示に関して「家庭用品品質表示法」が適用されます。この法律に基づく繊維製品の表示基準では、カシミヤ製品について明確なカタカナ表記の指針はありません。

 それ以前はカシミヤという表記はダメで「毛またはウール」でした。一度、経済産業省に問い合わせたことがあります。その時は「動物の毛はすべて毛またはウールです」と言われてしまいました。それでも「うちはカシミヤ100%しか扱っていないのですが」と粘ったら「ウール100%にして、欄外に内カシミヤ100%としたらどうですか」という答えでした。
 ウールもしくは毛と表示しなければならないと法律に決まっているけど、欄外に書いてはいけないとはどこにも書いていない。「なるほど!」と、喜んだことがあります。

 その後2000年に改訂されてカシミヤの表記が可能になりました。

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