ツリートップス ホテル アバーディア・ケニア
今回は『木の上にあるホテル』です。
ツリートップス ホテルはケニアの首都ナイロビから車で約4時間。アバディ・ナショナルパークの中にあります。
ジャングルが200メートルのトラックぐらいの広さにポッカリ開け、そこに直径20メートル程の池。森と池の間に太い丸太で組んだ木の上に人間の入るオリ(ホテル)があります。動物園と全く逆の楽しいホテルです。
車から降りてホテルまでライフルを持ったホテルの主人と従業員に前後を守られながら、一列縦隊でホテルへ。
梯子の階段を全員が上がって、梯子が引き上げられ床の扉が閉められると潜水艦のような気分です。(乗ったことは無いけど)
野生の雰囲気を壊さない質素な造りながら不便さを全く感じさせない質実剛健な小屋です。
さすがエリザベス女王も泊まられたホテルと感心します。
3時になると、ホテルの屋上でティタイム。イギリス人はティタイムを大事にすると聞いていましたが、こんなオリに入っても。それも素晴らしい食器でティやスコーンが出てきました。時々いたづらなサルがクッキーを失敬に来てお客の喚声が上がると、ボーイ君が走って行って追い払います。
池に向いた大きなガラス窓側に椅子がずらっと並んで、背中には赤々と燃えるストーブ。ここは海抜が高いので夜はかなり冷え込むんです。皆、ストーブを背中に上着まで着込んでいます。
この椅子に座って外の動物を眺めていると何時間でも飽きません。柱の下をイボイノシシの一家が走り回り、バッファローがゆっくりと通り過ぎます。
夕方、シャワーを浴びているときに窓の外のジャングルの奥に像の姿を見つけ、慌てて下のロビーにむかいます。ラッキーにも、この日は20頭以上の象が現れました。小象も母親たちに守られながらの登場です。
ホテルの窓の下に撒かれた塩を舐めに来るんです。餌付けというか塩付けというか?気が変わって柱にぶつかって来たらどうしようと、ちょっと不安がよぎります。
自分の足元の直ぐ下で塩を舐めている象の背中が揺れる様は凄い迫力です。皆息を呑んで見つめています。
あんまり熱心に見ていると、揺れる背中で船酔い気分になりそうです。
象達が引き上げた後は夕食。こんな檻の中でも夕食はグラスワイン付きのフルコース。やはりここはアフリカに有っても、イギリス人のリゾートだと感慨を新たにします。
チェックアウトして檻の階段を降りたら、少年の頃の遊びが終わって木から降りたときのような、ちょっぴり寂しい気分が残ります。
『沈まぬ国の太陽』という映画で、主人公の恩地と雄大なケニヤの自然のシーンが沢山出てきますが、ナイロビヒルトンのコーヒーショップで、『木の上にあるホテル』のことを熱く語って勧めてくれたのが、その主人公・恩地のモデルの小倉寛太郎さんでした。とっても懐かしいホテルです。
うと