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ミヤコホテル ロスアンゼルス

 ロサンゼルス・ダウンタウンのリトルトーキョーにあるホテル。いまは建物の側面いっぱいに、大谷翔平選手の巨大な似顔絵が描かれ、昨年のドジャースのワールドシリーズ優勝パレードには、その壁画が大写しになる映像が幾度も流れました。
 このホテルは、私にとっても想い出深い処です。
50年も前、まだ海外旅行が“夢の出来事”だった時代に宿泊した懐かしい日系のホテル。当時の名称は「都ホテルロサンゼルス」。近畿日本ツーリストの運営で、日本から訪れる団体旅行者にとっては、安心できる“拠点”のような存在でした。

 すでに現在の建物は建て替えられましたが、リトルトーキョーの中心地に位置し、日本語が通じるスタッフも多く、JALのCA(当時は“スチュワーデス”と呼ばれ、女性の憧れの職業でした)たちも定宿として利用し、「日本人がホッとできるロスの宿」だったのです。
 ロサンゼルスの広々とした街中に、突如現れる木組みのやぐら。日本の象徴といえば“鳥居”だと思い込んでいた私は、この「やぐら」がとても不思議だった記憶があります。

 このとき私たちは、日本のアマチュア音楽家を海外に紹介し、派遣するというユニークな事業を展開していて、この旅は、静岡の女子高校生たちがアナハイムのディズニーランドで日本の歌を披露するという、文化交流が目的のツアーでした。観光ではサンフランシスコにも立ち寄り、彼女たちは浴衣姿で素敵な日本の歌を披露しました。

 そんな彼女たちのステージを見ていて、ある日系人のおばあさんが目に涙を浮かべながら「懐かしいわねぇ」と手を握ってくださった姿に、私たちも胸が熱くなったのを覚えています。
 当時、海外はまさに「夢の舞台」でした。

 引率の先生や校長先生に、いくつかのホテルを紹介しましたが、「この都ホテルは日系です」と言ったとたん、「そこにしましょう!」と即決だったのも、時代を象徴するエピソードです。

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