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アンバサダーホテル パリ・フランス

 今から45年も前の1970年代、日本人にとって海外がまだ珍しかった頃、20歳代でパリやロンドン、ミラノなどを訪れるファッション視察ツアー作って自分で添乗するという旅行屋をやっていました。

 業界のことは全く知識がなく困っていた時に、フランスや現地のファッションの事情を教授して頂き大変お世話になったのが、今も現役デザイナーで活躍されている島田順子さんでした。 

 島田さんは1970年初期、単身フランスに渡り幾多の苦労を乗り越えて、当時は有名ブランドのチーフデザイナーとして活躍されていました。今のように情報や知識がない頃の島田さんの現地の情報は本当にありがたく貴重でした。

 ファッション関係のお客様ですからお店をリサーチしたりサンプル品を購入することが大きな目的です。そのためにはシャンゼリーゼやサントノーレ通りのお店に行くのが便利だということで、オペラ座の近くのこのアンバサダーホテルに決めました。

 世界で最も美しい街並みと言われるパリ。美しい堂々たる外観のアンバサダーホテルの建物。今はマリオット系の豪華ホテルですが、当時はちょっと薄暗いヨーロッパの伝統的な建物で、アメリカンスタイルのホテルに慣れている日本人にとっては部屋の狭さが不満のようでした。

 そんな時、ホテルを訪ねて来てくださった島田さんが、「パリもそうですけど、ヨーロッパの大半のホテルの部屋はアメリカンスタイルのホテルに比べるとちょっと暗くて狭いんですよ。このホテルはパリの中でもとっても良いクラスのホテルですよ」と言ってくださいました。世界を飛び回っていてパリ在住の長い島田さんの一言で「あ、そういうもんか?」と納得してもらい、本当に助かった!と感謝したことを想い出します。

  また、島田さんから聞いた話に日本と外国の常識の違いで大きなショックを受けた話があります。

 「日本は重厚長大の製造業などを評価し、ファッションや旅行業界などは水商売と、あまり評価しないのよね、でもフランスではファッション業界はとても評価されていて、大卒の優秀な人達がこぞって入って来て競争がありとってもレベルが高いのよ。そして、あなたの旅行業界もフランスでは国を支える重要な産業なのよ!」と聴いて、へぇー!と日本とフランスの違いに驚き、旅行の仕事にプライドを持てるようになりました。40年が経ち、日本はやっとツーリズムの可能性に気づきインバウンドに力を入れだしましたね。

 

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