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倉敷IVY(アイビー)スクエア 倉敷・岡山

この倉敷IVYスクエアに泊まって夕方や朝早く倉敷川の周りの美観地区を散歩するのが何よりの楽しみです。出張で岡山辺りでの仕事のときでもつい倉敷まで来て泊まることが多くなってしまいます。

掘割のある倉敷美観地区の中心は1930年に開館した日本初の西洋美術館、大原美術館。収蔵の名画を収集したのが地元出身の児島虎次郎で、スポンサーが倉敷紡績で財をなした大原孫三郎でした。その倉敷紡績のクラシックなレンガ造りの工場の建物を元にして造られたのがこのホテル、倉敷IVYスクエアです。ホテルIVYスクエアとかIVYスクエアホテルではないらしい。ホテルとはうたってないが、ちゃんとしたホテルです。

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IVYとはアイビー、蔦の意味です。創業当時は工場の建物に当たる西陽の暑さを遮る為に植えられたそうです。
夏場は青々とした葉が強い日射しを遮り、秋には葉が艶やかな彩を添えてくれ、冬場は葉を落として熱を吸収するなんて、これこそ地球環境に最も優しい天然の冷暖房でしょう。煉瓦造りの壁に蔦が這う古い建物はそれだけでも知的な美があると思います。

KURASHIKI IVY SQUARE と書かれたゲートをくぐってホテルの敷地に入ると、中世ヨーロッパの僧院の回廊を思わせるような四角い広場の周りを蔦の絡まる煉瓦造りの建物が囲んでいます。
設備だけなら新しいビジネスホテルの方がより機能的なんでしょうが、建物、デザイン、歴史。それらを今でも使えるように大事にメンテナンスしている心が嬉しいです。古い工場をホテルにするという発想は素晴らしいアイディアだと思います。部屋は決して豪華ではありませんがシンプルな設備で、ビジネスホテルよりやや広く、何より天井がたかいのでリラックスできます。

IVYスクエアー便箋封筒.jpg

ここへ来たら大原美術館はもちろんですが、四〇年以上も前に初めて来たときに入った喫茶店のエルグレゴへ足が向きます。
高校を出たばっかりで、初めて見た名画に興奮さめやらないまま、まだコーヒーの味にも馴染みがなかった頃、エルグレゴで飲んだコーヒーの苦さは未だに舌に残っています。懐かしいけど『少々くたびれたかなァ』。

夕方、ホテルへチェックインして荷物を置いたら早速外へ。一般の観光客が引け、そろそろお店も店じまいして陽が落ちる前の倉敷川のお堀の周りの雰囲気が良いんですよ。早朝とこの時間の為にここに泊まると言っても過言ではありません。
薄暮の中、周辺で仕事をしていた人たちが自転車で『お疲れ様』と声を掛け合って帰宅する様は、芝居がはねたあとのような物寂しさと仕事を終えた安堵と充実感とが街を包んでいるようで、大好きな時間です。

20090427エルグレゴの赤い入口.JPG

エルグレゴ

蔦の絡まる.jpg

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