マジェスティック ホテル メキシコシティ・メキシコ
メキシコシティの街を思い浮かべると、『乾燥した埃っぽい高地の街をフォルクスワーゲンの黄色いカブトムシのタクシーがやたらとクラクションを鳴らしながら走る街』。そして、『物売りの呼び声が石畳の街に反射する賑やかな街』。という光景が思い浮かびます。
メキシコシティの中心といわれるのが、ソカロという木が一本もない石畳の広場です。
カテドラル(大聖堂)と大統領宮殿が囲んでいて、広場の真ん中に巨大なメキシコの国旗が掲揚され、いかにも中心!という感じです。その広場の右側角にマジェスティックはあります。
メーデーで ソカロ広場を埋め尽くす人々
マジェスティックホテルは、クラシックな造りで、入って四階まで吹き抜けの天井がとってもいい雰囲気です。そして年代物のエレベーターがやけにゆっくりです。
ホテルの最上階のレストランからこのソカロが一望に見渡せ、真正面に大統領宮殿、左に大聖堂という絶好のロケーションです。
ここから広場を見ているとメキシコの社会が凝縮されているようで見飽きません。
三泊した最終日の朝、レストランに行くと眼下の広場で祭りのような準備が整っています。
広場を囲む建物にはスペイン語でスローガンが書かれた巨大な垂れ幕がかっています。
何が始まるかわくわくしながら特等席の窓際で朝食を摂っていると、軍服やいかにもお偉方風の紳士、20人ぐらいがテーブルを占領してしまいました。ドレスの婦人もいます。一般のお客は私を含めても3テーブルだけ。
パレードが始まり方々から続々と人々が集まって来ます。プラカード、旗、鳴り物ありのもの凄い人数です。
ウエイトレスに聴いて今日はメーデーと気づきました。
サリナス大統領が颯爽と大統領宮殿からお出ましです。周りの建て物の屋上の要所要所を銃で武装した兵隊が警戒しています。一瞬、ゴルゴサーティーンの劇画のシーンが思い浮かびます。
式典もそろそろ終わりかなと思えた頃、食事をしていた紳士淑女全員が席をはずしてレストランのテラスに整列して手を振り出しました。『待ってました!』とばかり備え付けの巨大な扇風機のような機械から赤白緑のメキシコ国旗カラーの紙ふぶきが撒かれます。広場の全員が喚声を上げこっちを注目しているんです。
まさに特等席でした。それにしても、お国のお偉方がメーデーのクライマックスで手を振っている横の丸見えのレストランの窓側で一人食事している東洋人。
下の広場から見ているとなんと違和感のある光景だったでしょう。