ホテル ドイチェスハウス ディンケルスビュール・ドイツ
ドイツ『ロマンティック街道の旅』は、最近ヨーロッパ旅行の人気のコースですね。
と言うよりT版になっているようです。ここを初めて訪れたのは1975年でした。
当時、ロマンチック街道の案内は、ドイツの詳しい旅行案内書の中にも半ページの案内も無い頃で、ドイツ大使館に足を運んで文化部の人に相談しながら旅程を作った懐かしい旅です。
日本からこんなところを訪れてくれる珍しいグループということでとっても喜んでくれて、何回も本国と連絡や情報を取ってもらってやっと旅程を作りました。
そのロマンチック街道で有名なのがローテンブルグという街ですが、その南にディンケルスビュールという街があります。
堅固な城郭に囲まれた小さな街です。半分は豊かな畑と美しい緑、もう一方は掘割に囲まれた城郭都市です。
城郭の門を入るとまさに中世が今に息づいている街です。
古い石畳の通り。伝統的な家々。窓辺には丹精された花々が道行く人の目を和ませてくれます。北のローテンブルグに比べるとずっと小さな街で、歩いてもわけなく一周出来ます。
ドイチェスハウスはこの街の中心に建つホテルです。
南ドイツ独特の木組みの美しい建物は一五世紀に建てられ、元は市庁舎としても使われた建物でこのホテル自体が歴史的建造物で、この街を訪れる観光客が必ず立ち寄る観光名所です。
通りに面した部屋から外を眺めていると次々と観光バスが停車して撮影の被写体にされてしまいます。
もちろんホテルの建物を映していることは百も承知ですが、皆手を振ってくれて、カメラを向けられるとなんとなく有名人になった気分。
ホテルの内部の太い柱や梁は黒々として、家具はいかにもドイツらしい質実剛健な作りで、レストランのテーブルにかけられた真っ白なクロスが印象的です。
奥のテーブルで往時を偲びながらコーヒーを飲んでいると、学生時代の喫茶店を思い出し懐かしい気持ちになってしまいます。
そこに賑やかな一団が観光バスでご到着です。
慌しく食事をしたり、ホテルのマークの入った記念のお土産を買い、ホテルの前で記念撮影を済ますと早々と次に向けて出発です。
忙しいのは我々日本人だけでなくドイツ人もアメリカ人も観光客はいずこの人も忙しいものです。
そんな慌しい観光客の喧騒が一段落すると元の静かなクラシックホテルに戻ります。
ディンケルスビュールの街やドイチェスハウスは昔の写真と比べてもちっとも変っていないようで、時の流れの緩やかさを感じます。