2000.3 陳健一麻婆豆腐店
* カシミアおやじのたわごと *
SOHO(ホームオフィス)で仕事をしているとつい熱中してお昼の時間を逃してしまうことが度々。武蔵小金井駅周辺で食べる処を探しますがなかなかこれだという店がありません。ましてや2時過ぎたらマックやケンタッキーぐらいなので、時々気分転換に電車に乗って国分寺や吉祥寺、立川へ足が向きます。
最近、立川駅にワンフロア―が中華街のグランデュオという駅ビルが出来、お客と話題を集めています。ワンフロア―すべてが中華料理のレストラン街ですからそのフロアーに入るとちょっとした中華風異国情緒が味わえます。何時行っても賑わっていて、大成功の部類でしょう。お昼なんかは多くの店でお客が並んでいます。中でも一番行列が長いのが『陳健一麻婆豆腐店』。2時ごろ行ってもまだ並んでいます。
お昼を逃して、ガラーンとしたお店で一人食べるのは味気ないものですが、この店ならこの時間でも活気があって、行列が苦になりません。
この店にはメニューがありません。麻婆豆腐の定食しかありませんから聞かれるのは、「デザートの杏仁豆腐はいかがですか?」だけです。
この店はとって先進的な店だと注目しています。また、自分がやろうとしているカシミヤニットと共通点が沢山あり勉強になります。
なにせメニューが一品ですから、豆腐や調味料など食材はとってもこだわっていて美味しいんです。しかし、食材にこだわると言っても普通のお店の何十種類ものメニューに比べると微々たるものです。
料理をするお兄さんは一日何十回も一つのメニューを作るわけですから熟練するはずです。ひょっとするとチャーハンや回鍋肉は作れないかもしれない(冗談ですが)。でも必要ないんですよね。最高の麻婆豆腐さえ作れれば彼はここでは有能な調理人なんです。ここに麻婆豆腐を食べに来る人は、彼が他のメニューを作れるかどうかは関係ないですよね。
メニューを絞り込むことで、食材の確保や在庫管理、仕事の段取り、最終の経理までも単純でシンプルです。なにせ一人税込で1050円か、1365円ですから間違い様がありません。
ビル間の競争の為に、和、洋、中あらゆるジャンルのお店をそろえる他のビルに対し、中華フロアーを持つビル。
『うちは店舗も広く、何でも取り揃えておりますよ』より、『当店はこれしかありません。でも他には絶対に負けません』という店。
差別化絞り込みが成功の要因のようです。
しかし、絞り込むことは大きな勇気と決断が要ります。