2000.5 何故大企業が良いの?
* カシミアおやじのたわごと *
前回の続きになってしまいますが、例の正義感の強い議論好きなオーストリア人に、「日本人とアメリカ人は大企業が好きだね。どうして?」と質問されたことがありました。
『所属している会社』が大きいとどうして良いのかを改めて聴かれて詰まってしまいました。そのころは自分たちがやっている小さな旅行会社に対するコンプレックスもあり、大企業の安定さ、大は小を兼ねる的な発想で単純に『大企業はいいなぁ』と、思っていました。
日本人のほとんどが思っていると思います。でもここが良いからと的確には答えられませんでした。雇われている社員が無条件で大企業が良いと思っていること。その上、「日本人とアメリカ人は」と、云われると、我々ヨーロッパ人はそう思っていないということでしょうから。
大きいことは良いことだ。寄らば大樹の陰。昔から言われ続けてきて、みんなも目指してきた。福沢諭吉の福翁自伝の中でも『大藩の人間はそれだけで威張っていておかしい』と、云っています。江戸の昔から自分の所属する組織が大きいと自分も偉いと錯覚する。でもロシアも中国もけっこうそれに近いですね。彼らにも聴いてみたいですね。福沢諭吉にも。
素材産業や流通産業は別にして、云われてみればヨーロッパで世界的に有名なフェラーリ―やポルシェ、スイスの高級時計などは、巨大企業ではありませんね。
ファッション産業では、この頃はルイビトン・モエヘネシーのような巨大企業も出てきましたが、有名なブランドでもほとんどが一族の家内企業の中小企業が多いようですが、みんな自信やプライドは高いですね。社員も、勿論オーナーも。
大きな仕事だから巨大企業。フゥム。中小企業の集まりみたいな巨大企業もあります。フムフム。
例えば、ピカソの直筆の絵が1枚1千万円だとすると、その絵の1枚1万円のプリントを2万枚の方が大きなビジネスになります。本物の絵より薄まった大きなビジネス。ちょっと複雑ですね。
でも大企業でないと出来ないことがある事も、大企業の出現で人類が豊かになったことも確か。しかし、どこがいいのか?何が優れているのか?知名度?社員の待遇?給与?安定?等々。
今までは総じて企業規模の大きいほうが社員に対する貢献度が高かったからじゃないかなと思います。中小企業ではそれは無理ななのかなぁ? それが出来るような企業は大企業になる?ちょっと違うみたいだけど?