カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

2013.10 出張での北上散歩

* カシミアおやじのたわごと *

 旅好きが講じて旅行屋になり世界中を飛び回ってたぐらいですから泊りがけの出張は苦にならないほうです。

 独立する前はニットアパレルの営業の責任者をやっていたので、ブティックを訪ねるためにそれこそ日本中の県庁所在地をはじめ多くの街を訪れました。県庁所在地で行ってないのは島根県の松江と和歌山ぐらいだと思います。

  出張で新たなところに行って土地の食べ物やお酒が楽しみという人は多いのですが、私の場合は完全下戸のために夜の街は皆無。早寝早起きが習慣で、早朝その町を散歩するのが出張のひそかな楽しみでした。

 このごろは出張はぐんと少なくなりましたが、工場を岩手県北上に移転してから月に一回ぐらいの頻度で北上に行く機会が出来ました。

北上での泊まりはほとんど駅の周辺ですが、駅の裏が北上川で、水量が多く豊かに流れる北上川の流れを眺めながらの散歩が大好きです。

 生まれ育ちが九州の長崎県島原。島原は小さな半島で、普賢岳の噴火の悲劇で知られたように、頂上から石が海辺まで転げ落ちるほどの急峻で狭い土地ですので、北上川のように水量が多く、滔々と流れる川はありません。また、東京辺りの川岸がコンクリートでガチガチに固められているのと違い河岸が自然の草木で覆われている様が気持ちを落ち着かせてくれるので、冬場や悪天候以外は散歩に出るのが楽しみです。

 北上川の対岸には北上で有名な展勝地公園があります。ここの桜は東北の3大桜と評される名所ですので並木が見事です。この公園の桜並木のはずれにレストハウスがあり、だいたいここまでの往復で、おおよそ2時間のコースです。

 北上川は明治以降鉄道などの陸上運輸が発達するまでは水運で重要な役目を持っていたそうで、江戸時代始めの頃から南部藩の盛岡から太平洋岸の伊達藩石巻まで主に南部の年貢米を江戸に運び出す為の水運の大動脈を果たしていたそうです。

 くだり3・5日、のぼり14日だったそうですが、ここ北上は黒沢尻と呼ばれる中継地で南部藩の御用倉があり、ここから上流の盛岡までは川底が浅く、石巻から上ってきた平田舟がここで小繰舟と呼ばれる船底の浅い舟に積み替えて上ったそうです。復元された平田舟がレストハウスの横に浮かんでいます。川舟としては想像以上の大きさです。

 川の流れと緑、癒されるお勧めの散歩コースです。

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