カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

2003.1   下戸のお屠蘇

*カシミアおやじのたわごと *

 約40年も前、結婚して最初のお正月のことです。

近くに住んでいるカミさんの実家へ新年の挨拶に出向きます。普段は軽口ばっかりなのにこの日ばかりはと神妙な新年の口上で挨拶を交わします。

挨拶が終わるや否や、『まずは一杯』とお屠蘇が注がれます。新年の挨拶とこの一杯は日本ではセットですね。ちょっと戸惑いながらも、お目出度い席だからとグイッと飲み干します。この家は基本的には呑ン兵衛の家なのでお猪口も大きいんですが…。

 一時間後、隣の部屋で寝ている婿を聴診器をもった義父がニコニコしながら診察し、娘であるカミさんに宣言しました。『アンタの旦那には酒は飲ませちゃいかんよ!』。

みんなは、ちょっと寝るからといって隣の部屋で横になっているお婿さんは、年末の仕事がよほど忙しく疲れが出たのかなと思ってたそうです。まさかお猪口一杯で寝る人なんて始めて会ったそうです。

呑ン兵衛の義父は新しい飲み仲間が出来るのかという期待にがっくり。それに手を焼いていた義母は心強い見方を得て大喜び。

 もし、義父が医者でなく、飲めない人を理解できない舅だったらカミさんの実家に行くのが苦痛になっていたでしょう。

  世の中であんなに愛飲されているお酒ですが、私にしてはどうも苦痛以外の何物でもないんです。飲める人は解らないかもしれませんが、飲めない人はこんな感じなんです。アルコールが入ると、まず目の回りが暑くなり鼻が詰まって欠伸が続きます。そのうちこめかみあたりが動機と一緒にガンガンし出します。

  世界的には飲めない人種。『学名:ホモサピエンス・ゲコネンシス』はアルコールのアルトアルデヒドを分解する酵素を持っていない人種らしいですが、アジアの一部だけにしか存在しないそうです。

中国でも乾杯は、グイッと飲んで杯を空けるようです。『どうだ!俺は酔わないぞ!』ということでしょうか?

欧米では酒が強い人弱い人の差別は私は知りません(あるんでしょうか?)。みんなが飲めるんだったら競いようがありません。勿体無いだけですから。

 弱い人がいることで強い弱いの序列が出来、強い人が評価されることになります。

『俺は一升飲んでも全然平気』、というように自慢気です。私にとっては大食い自慢と同じなんですが。

  『飲めない』でずいぶんと苦労をしました。

でも、この頃は酒を強要するする人は少なくなりましたが、どうしてあんなに強要する人がいるんでしょう。

同じ酒席で自分が酔ってまともじゃないところを素面な人に見られるのが嫌なんでしょうか?それとも自分だけ飲むのが後ろめたいんでしょうか?

でも、こんなに素晴らしい飲み物だから是非勧めたい、一緒に楽しみたいという親切心が多いことは理解してるんですが、実は有り難迷惑なんです。本当に飲めない人は危険なんです。

 正月にふさわしくない話になってしまいました。

ホモサピエンス・ゲコネンシス??そんな学名あるわけないですよ。スイマセン。

 

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