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石坂産業をご存知ですか?

 「産廃業」に、正直あまりいいイメージを持っていませんでしたが、その産業廃棄物を98%資源に変えている石坂産業を知って、世の中の風潮に流されて不勉強だった自分に大いに反省しています。

 石坂産業のことを、TV東京のカンブリア宮殿で、知り大感動しました。以来、NHKの逆転人生、著書2冊も熟読し夫婦で隠れファンをしていましたが、今年1月に会社と工場を見学することが出来ました。

  1999年、ニュースステーションで埼玉の葉物野菜からダイオキシンが検出されたと報道されましたが、当時一視聴者として深くは気にかけずに視ていました。結論は全くの報道ミスだったのですが、その時は大騒動になりました。

 石坂産業は丁度ダイオキシン発生を防ぐために高温で焼却出来る新鋭機を17億円で導入したばかりでしたが、巨大な設備を持つゆえに石坂産業は騒動の矢面に立たされ排斥署名運動にまで発展します。

 そんな中、入社したばかりの長女の現社長が、落胆の父親にこの仕事を始めた真摯な志を聞き、「自分に社長をやらせてほしい」と父親の社長に談判し、引き継ぐ形になったそうです。火中の栗を拾う勇気に驚きです。

  改革に着手。社内を清潔にして明るい挨拶をすることから始め、巨額の投資をした焼却を辞めリサイクルに大転換という大改革に取り組ました。当時の社内は荒れていて、改革に全く馴染まない多くの古参の4割もの社員が辞めていきました。その上、会社の周りは産廃銀座と呼ばれ、森には不法投棄は珍しくない悲惨な状況だったそうです。

  現在の石坂産業は、完全に外に埃が出ない建物の中で、セメントや石などのがれきは破砕され、木材、金属と分別し、最終は見事なまでの製品にされて販売されています。まさに、「捨てればごみ、分ければ資源」が実現されているのです。

 トラックは一般道路に出る前にタイヤなどを雨水を貯めたシャワーできれいに洗浄されて公道に出て行ってもらっている、という徹底振りです。

 

 実際に見学させてもらった工場の美しいこと、里山の森の綺麗なこと、皆さんの表情の良いことに感心しましたが、防塵マスクをされて仕分けの作業をされている社員の方と目があった時に、素晴らしい笑顔で答えてくださった時、「あんな大変な作業の途中なのにと」、感動まで覚えました。

  森が暗くて綺麗でないから不法投棄がある。それなら会社の周りの森を綺麗にしようということから始まった里山プロジェクト。今では里山に昆虫や子供たちが集まります。

まるで、世間知らずの純粋な学生が理想だけを描き、「産廃ゴミをリサイクルして資源にし、石や木材や金属はそれぞれの商品として販売し、会社の周りの森の木々を綺麗にするときに出る落ち葉などは堆肥にし、その堆肥で無農薬の野菜を育て、美味しい食事を提供する」。こんな、「言うは易く行うは難し」を実践している会社なんです。

 物作りという供給側の動脈企業には陽が当り、年商何千億、何兆円という巨大企業があるのに比べ、静脈産業である始末をする企業に対する評価の低さ、年商の低くさ。これは社会のどこかで、物がうやむやになっているからでしょう。

世の為人の為に、静脈側のエクセレント企業として、石坂産業には兆を超す企業になってほしい。それに匹敵する社会貢献をしている会社だと思います。

 実際に、こんな人がいるんだ!こんな会社があるんだ!と知り、とっても爽やかな気持ちになって帰ってきました。

 

2020.1.17 うと

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