お客様の希望の寸法で作ります
今のところ、UTOがもっとも評価して戴いているのが、『多くの色の中から、貴方の希望のサイズで作ります』というセミオーダーメイド的なもの作りじゃないでしょうか?
ニットはお直しは出来ないのが常識ですね。
ニットはループ状になった糸の連なりで出来ているので一箇所でも切るとそこからほどけてしまいます。無理やりカットして小さくお直しする事は出来ないことはありません。
カットした所がほどけてしまうのでそこにロックミシンを掛けてしまうんです。
ロックを掛けられたセーターはもちろん伸び縮みも着心地も悪くなってしまいます。そんなセーターを見ると悲しくなります。
もちろん幅を出すことはニットを継ぎ足さなければならないのでほぼ不可能ですね。だから多くの人が少々大きめのセーターや小さ目のセーターも、『ニットは伸び縮みがするから』と我慢して着ていますね。
織物の生地で作られた既製服では全くお直しのない人の方が少なく、殆どの人は袖丈を詰めるとか、ウエストを出すとか、何処かしらお直しをしているんじゃないでしょうか。
例えば、布帛の服の場合。袖丈一、二センチでもお直しすると思いますがセーターの場合は特性の伸び縮みで大体カバー出来ると思います。でもさすがセーターでも四、五センチになると着心地も見栄えもかなり違ってきますね。
このセーター気に入っていると言いながら、袖を一折して着ている人は結構多いんじゃないでしょうか。
ニットだからお直しできないと諦めている人に何とか『ピッタリ』のセーターを着てもらいたいと長年模索して、やっと適うようになりました。
お直しを出来ないセーターをピッタリに着るには一枚一枚作るしかないんです。
工場さんから、『どうせUTOは全て一枚一枚作っているんだから』と了解してもらい、2002年に『貴方の希望の色で、ぴったりの寸法で作ります』というカシミヤのセミオーダーを受注会形式で2002年から初めました。
バストから裾までストレートの着丈を長くするには編み回数を足してやれば良いんですが、UTOのインナータイプはウエストまで緩やかに絞ってあります。ウエストラインから裾まで少~し広がっているんです。その為にただ着丈を伸ばすだけといっても、ウエストから裾までの傾斜が違ってきますので目減らしの数を変えなければなりません。
最も単純と思われる着丈でもこれだけの作業をやるので、バストの幅を変更する時はそれに伴う肩幅や袖幅、アームホール、袖丈まで影響しますので、毎回指示書との格闘です。
試作して、本番で何百枚何千枚を作るのに対して、UTOの場合は一発勝負で何枚も作るのと同等、それ以上の一枚の完成品を作り上げるんですから真剣勝負です。
サイズ以外でも、タートルの衿を伸ばしたり、裾や袖のリブを長くしたり。一部に配色を入れたりすることでデザインを変え、自分のオリジナルを作る依頼も気軽にお受けしています。
出来上がったセーターを着て戴き、『自然で違和感がないよ』という答えは、実は一番の誉め言葉だと思っています。
サイズが大きくなると使用する糸量も増えるので糸代を頂いていますが、こんな手間のかかる変更を、千円~五千円程度の割増料金で短期間で作っています。多分服のお直しでもこれぐらいの料金と時間がかかるんじゃないでしょうか?
これをはじめた当初、4月頃にお店での受注会でお客様から注文を受けたけど、出入りの他のメーカーさんから『ニットでそんなことをやるなんて信じられない』といわれて、8月の秋の立ち上がりに納品されるまで心配でたまらなかったということを聞いてお互いに笑ったことがあります。
これってやっぱり凄いことだと自負しているんですが。