旧・ホテル テルミナス サンラザール
1970年代は旅行屋をやっていて海外へお客様を案内していました。その頃日本は海外旅行の自由化が始まって間もなくで年間海外渡航者が500万人もいない時代です。今と違い海外の情報は殆どなく特にヨーロッパは憧れの地で「一生に一度」とか「冥途の土産」と言われる時代でした。
いまでは日本のトイレは世界に誇るというか、世界に驚きをもって高評価されますが、当時の日本はまだ水洗トイレが珍しく笑い話のようなお風呂やトイレなどの失敗が頻繁に起こっていました。
今回のこのホテル テルミナス サンラザールを思い出すと頭に浮かぶエピソードがあります。
このホテルはオペラ座のすぐ近くでパリ市内では便利な場所と言えます。パリ サンラザール駅の真ん前にある巨大で重厚な建物です。パリで最も古い駅で日本でいえば東京駅か上野駅に当たると思います。
圧倒されるほど天井が高くしかも大理石の柱も豪華な装飾でまるで宮殿のようなロビーです。なのに部屋は狭めで暗いのです。豪華な建物だけに部屋にも期待が高まるのは当然です。ですから空港からホテルへ向かうバスの中で現地のガイドさんがこんな案内をしていました。
「ヨーロッパが初めての方?ではヨーロッパ以外への経験者の方は?」いつも半数近くがアメリカやアジアへの経験者でした。
「ヨーロッパのホテルは皆さんが期待されているより狭くて暗いのが特徴なんですよ!」という説明から始めるのが常でした。「特にハワイなどのリゾートのホテルの部屋は明るくて広いのが常ですので、渡航料金の高いヨーロッパのホテルの部屋も豪華で明るく広いイメージをもって来られる方が多いので、まずこの話をするのです」と教えてもらいました。
今はヒルトン・パリ・オペラ という名前で営業しています。外観はもちろん住所も同じですから間違いないと思います。
きっと大改装をしていると思います。外観は全く変わらないので今はどうなっているか知りませんが建物は同じです。アメリカ資本のヒルトンホテルなのできっと明るくしているんだろうと想像しますが、懐かしいエピソードです。

