カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

1998.12 萩ゆけば~! 

* カシミアおやじのたわごと *

 吉田松陰と松下村塾 &フィラデルフィアのインディペンデントハウス

かねてから、明治維新に貢献した長州の若者たちの故郷、萩を訪れてみたいと思っていました。それが九州へのお盆の帰省で適いました。

明治維新の評価はそれぞれ分かれるのでしょうが、どうしてあんな片田舎から、綺羅星のように魅力のある若者たちが固まって輩出されたんだろう。中でもその若者たちに一番の影響を与えたという吉田松陰に最も惹かれます。

 松陰の松下村塾は東萩駅で自転車を借りて走ること約5分。松陰神社の中にひっそりとありました。8畳と10畳半のふた間の小さな日本家屋です。小さな塾に違いないと思ってはいましたが、予想よりはるかに小さな建物でした。

吉田松陰はペリーの黒船でアメリカへ密航しようとして捕らえられた後、塾の隣の3畳の部屋に蟄居させられながら、その3畳間から外の少年たちに講義していたそうです。

高杉晋作、木戸孝充、久坂玄瑞、伊藤博文、井上馨、山形有朋・・・。

 徳川から明治へ時代を変える原動力となった長州の多くの若者たちがこの門下生。

  松陰は情報の少ない鎖国の日本で、どうやって外国の情報を得て、どんな外国を、どんな未来を少年たちに語ったんだろう。松陰から少年たちが知識を得て、目覚め、そして目指した。短期間でも、若者たちの切っ掛けを作った教育の大事さ、影響力、環境、同窓や仲間同士の影響の大きさを感じます。

  この小さな粗末な家を見ているとき、以前訪れたアメリカの独立宣言書を作ったフィラデルフィアのインディペンデントハウスを思い出しました。

 壮大な首都のワシントンの後に訪れた古都フィラデルフィアだっただけに、思ってもみないほど小さな建物で驚きました。

  独立宣言書を起草する為に、ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンを始め州の代表者たちが、宗主国のイギリスの兵隊から命を狙われながら、こんなちっぽけな小屋みたいな建物の中で独立宣言書にサインしたんですね。命を懸けて、震える手でサインしたんだろうなぁと思った時、どんな偉大なことでも、始まりはあまりにも小さく、なんと頼りなげで危ういことか。達成された今とのギャップに震えるような感動を覚えたことを思い出しました。

  洋の東西を問わず、目指した人の決断から始まる。その切っ掛けを作る教育、知識、人を作ることの偉大さを再確認した萩の旅でした。

 見どころの多い旅も良いけど、感じ所の多い旅は心に残ります。

 

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