1998.12 雲仙普賢岳の切手
* カシミアおやじのたわごと *
自宅のある中央線・武蔵小金井の駅の構内に郵便局の出張販売が出ていました。
郵便局員が出張販売?と思いながら前を通りかかります。
「ふるさと切手」の販売のようです。
少年の頃切手収集が流行り、自分でも集めていたことがあるので切手の図案には興味があり、つい目がいってしまいます。ギザギザの額縁の中の絵は、それぞれが優れたデザインで小さな芸術作品だと思います。
毎回、この通信を郵送するときに郵便局で記念切手を探します。値段が高いなら別ですが『同じ値段ならきれいな記念切手がいいなぁ』と思いますよね。受け取る方も、出す方も、封書に綺麗な色彩の切手が貼ってあると気持ちいいし、カッコイイと一人で悦に入っています。ほとんど自己満足の世界ですが。
と言うことで、早速覗いてみました。
いろんな地方の美しい風景の切手が並んでいます。その中に我が故郷の切手がありました。平成新山・長崎県と書かれた、噴火した後の雲仙普賢岳の絵です。あの忌まわしい噴火からかなり時間が経って、火砕流の跡にうっすらと緑が生えていて一見穏やかに見える図柄です。今回はこの切手を貼って皆さんに出そうと早速買い求めました。
故郷の図柄と言うだけでなく皆さんに紹介したかったのには理由があります。実はこの写真を撮ったのは中学の同級生なんです。西川清人です。
ほぼ30年ぶりにお盆に帰省して彼の実家に立ち寄って、本人から、照れながら「これ俺が撮ったやつなんだよ」と貰ったのがこの切手でした。九州地方で限定発売されているということで記念に貰ったもので、まさか小金井で買えるとは思ってもみませんでした。
同時に貰った写真集から抜粋の絵葉書は『山の息づかい』というタイトルで、噴火した後の平成新山の四季折々の絵です。地元の写真家ならではのアングルです。
大惨事を起こした普賢岳は今でも一見すると恐ろしく、荒々しい姿です。報道関係者や外部の人なら噴火の生々しさをセンセーショナルに表現するんでしょうが、彼の写真は噴火するまえの、のどかな普賢岳を思わせる柔らかさと優しさがあり、ほっとさせる写真です。自分の故郷を愛する気持ちと、山が穏やかでいてほしいという願いが込められているように思います。
故郷に残った同級生が頑張っていることを喜んでいます。そして誇りに思います。