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  1970年、憧れの海外に行くチャンスが多くあると思って就職したのに、旅行屋になりたての頃の仕事は海外に旅行する人の手続きばかり。当時は海外旅行が珍しく、目的のほとんどが仕事での海外出張。それも外貨を得る輸出の仕事の人が優先の時代です。

  まずパスポート取得。でもその前に日本から持ち出す外貨を日銀に申請するんですが、それまでは日本銀行など縁がありませんから、本店ロビーの高い天井に圧倒されました。

 外貨の持ち出しが500ドル。しばらくして800ドルになりましたが、たったそれだけしか持ち出せないんですから、当時の人達は滞在費に随分苦労したと思います。世界一の外貨保有の今と比べると隔絶の感があります。

  また当時はほとんどの国がビザが必要でした。

 パスポートを取った後、今度はお客様のパスポートを持ってビザ取に大使館巡りです。

 大使館に入った途端にお国柄。それぞれ独特の特徴と雰囲気があります。最初に接する異国、異文化のカルチャーショックを受けたのも各国の大使館でした。そして自分を日本人と意識したのは虎ノ門にあるアメリカ大使館でした。

  アメリカのビザの申請は移民法の管理下。法律はド素人ながらアメリカの国の根本を移民法の上で垣間見ました。

 ビザの申請書で質問される事。国籍はもちろん理解できましたが、民族、生まれた場所、肌の色、髪の色、目の色。我々日本人にとっては当然、ほとんどの人が、民族は日本民族、生まれた場所は日本、肌の色はミディアム、髪はブラック、目の色はブラウンといつも同じことを記入します。なんでこんなことを書くんだろうと思いながら見渡すと、大使館、領事館の中の人達は種種雑多です。

  世間知らずの田舎者の私はアメリカ人というと、金髪に青い目の白人と思い込んでいましたから新鮮な驚きでした。外見からしても人それぞれ違うアメリカ。方や殆どの人が同質の日本。ここに来るまで意識もしていなかったことです。

 日本は、外見も考え方も皆が同じ以心伝心の社会。だから日本は良い。アメリカ人は一人ひとり皆違うから大変と考えるか、それとも、だから良いと思うか。世界と付き合って行くには『違う』から始まって、その違いを知り、尊重する。『違いが有るから素晴らしい』が、グローバルスタンダードなんでしょうね。

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