カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

1999.10 30年ぶりの平泉 絶品のお蕎麦と兵どもの夢の跡 

 * カシミアおやじのたわごと *

  秋田での仕事の帰りに時間を見つけて岩手の平泉へ立ち寄りました。

 学生の時の夏休みに東北一周周遊券を買って東北を巡った時に訪れた平泉。30年ぶりの平泉は殆ど記憶に残っていません。

微かな記憶は北上川を一望する高台に芭蕉の、『夏草や兵どもの夢の跡』という句碑が立っていてその詩の感を強くしたこと。中尊寺の深い緑の中に金色堂がやけに『きんきらきん』だったこと。あとは毛越寺の池ぐらいです。

  秋晴れの清々しい空の下、平泉駅から歩いてぶらぶら中尊寺へ向かいます。稲刈りの終わった田圃の畦や農家の庭先にピンクや濃赤のコスモスが満開です。

 途中、高館・義経堂(たかだち・ぎけいどう)に立ち寄ったら、ここからの眺めで昔が甦りました。あの北上川を一望したのがここでした。芭蕉の歌碑もあり、真夏の強烈な陽射しの中でここに立っていた記憶が甦ります。

 中尊寺は金色堂を確かめに行ったような感じですが、今回は別の思い出が出来ました。それは中尊寺から毛越寺へ向かって歩いているとき東北本線の小さな踏切の傍に見事なガマズミの赤い実が目に留まりました。傍に小さく『蕎麦』とあります。お蕎麦屋さんの裏のようです。

表に回ると古い民家風の建物の入り口に白地の大きな暖簾に『二束の草鞋』と、小さく『地水庵』と書かれています。なかなかいいセンスです。『ひょっとすると美味しいお蕎麦屋さんに巡り合ったのかもしれない』と、久しぶりにワクワクしながら入りました。

  結果は大正解でした!ピカピカに磨かれた板の間の間に15センチ以上もある分厚いテーブル。藍染の座布団。見上げると漆黒の梁がとっても高く開放感いっぱい。これは解体したご主人の実家の古材を使ったそうです。イサム・ノグチの丸い和紙の灯り、手作りの陶器。クラシック音楽。そして丁寧な接客。これで美味しいお蕎麦を頂く舞台はばっちりです。

  いただいたのは、有機栽培で石臼引の手引き1日10人分の限りという『古典蕎麦』の1000円也。野菜のてんぷらは700百円。

 奥さんの、『良かったら最初はつゆを付けないで召し上がってください』。

言葉通り良い香りです。蕎麦湯で飲んだそばつゆがまた良い味で、全部頂いてしまいました。

 お店・味・値段ともに大満足。食いしん坊の私としては、これからの平泉の印象は『お蕎麦』になってしまいそうです。

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