カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

8-1. リンキングというニットの縫製の話 (1)

タートルネックなどのかぶりのセーターを着るとき、この小さな丸いネックの開きが布帛だったら絶対に頭が入らないだろうなあと思うことはありませんか?

伸びるニットと伸びない布帛の大きな違いの一つですが、伸びない布帛ではネックの一部を開いて頭が入る状態にしてボタンやファスナーで閉じるようにしますね。

一方ニットのほうはそのままかぶってもネックが伸び、頭が入ったら縮まりますね。
いつも普通に行っている動作なので当然のことのようですが、それにはそれなりの仕掛けがあるのをお気づきでしょうか。そうです、ネックのゴム編みですね。このようなネックのパーツには伸び縮みさせるためにゴムのように最も伸び縮みするゴム編を使っています。
しかしそのゴム編みも普通にミシンで縫い付けたら縫い目が固定してしまいますのでゴム地が伸び縮みしてもネックは広がりません。そこで登場するのがリンキングです。

ダイヤルリンキング.JPG

布帛の縫製は伸び縮みしない生地と伸び縮みしない生地をミシンで動かないように縫い付ける。一方ニットのリンキングは伸び縮みする編地どうしを縫い合わせて伸び縮みする編地のようにする縫製の方法なんです。
ニットの世界では縫い合わせることはリンキングすることが普通ですので、ミシンで縫い合わせることを本縫いと呼んでいるくらいです。

ちなみに頭がスムースに入る天巾は、引っぱって直径30センチ、ぐるりで60センチが目安です。

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