2004.7 野川の散歩
* カシミヤおやじのたわごと *
『春の小川はさらさらいくよ』という歌がありますね。子供の頃に歌った、日本の原風景を唄ったような歌詞で、つい田舎を思い出してしまうことがあります。
住んでいる小金井の家から一分の所にこの歌を思い起こす小川が流れています。野川(ノガワ)といいます。野を流れる小さな川を連想する好きな名前です。
隣の街、国分寺にある日立の研究所や東京百選に選ばれた『真姿の池湧水群』、近所の貫井神社等が水源でこの辺りは川幅も狭く対岸に跳び超えられるぐらいで、川底も浅くまさに『さらさら』という流れの音を聞くことができます。
カルガモが遊んでいる水辺で近所の子供達が小魚をすくったり、ザリガニを捜したり素朴な遊びに興じています。川原は武蔵野の自然が残り、植物が四季の移り変わりを知らせてくれます。
川の両側は、多摩川と合流する二子玉川まで約二十キロが遊歩道として整備され散歩にはもってこいです。
この遊歩道を自転車で十分ほど下ると武蔵野公園があります。武蔵野公園は東京都の公園や街路樹の苗を育てる描圃が主体なので色んな種類の木が育てられ緑の濃い公園です。気がつかない人も多いようですがこの武蔵野公園の一部に府中自動車試験場があります。
免許の更新に来た人は多いと思いますが、どうもあの時は一刻も早く帰りたいと思うので、裏にこんな緑の深い公園があるなんて頭に浮かばないですよね。
武蔵野公園と繋がってもう一つ、野川公園があります。ここも都立の公園で元々ICU・国際基督教大学のゴルフ場を東京都が購入して一般に公開したものです。元ゴルフ場だけあってフェアウェイの芝生がきれいで両側は見事な木々でセパレートされ、『ここは左ドックレッグの四百二十ヤードのパー・四』、などと歩測して楽しんでいます。
お昼を食べたり、寝転がって本を読んだり、気が向いたらスケッチしたり。野川公園まで週に一度もいかなかったら忘れ物したような気分になってしまうくらい気に入っている散歩コースですが、残念ながら今までの話は今年の四月まで。年々湧き水の量が少なくなってきてこの頃は水の流れがほとんどなくなってしまいました。
真姿の池の上にマンションが建設されていて急に湧き水の量が減ってしまったという話がありますが真意の程はわかりません。雨が降るとしばらくは流れていますが雨が止むとすぐ干上がって所々に水溜り程度。二~三日晴天が続くと水無し川です。水の音は気持ちを癒してくれるので、水の無くなった川は本当に寂しく残念でなりません。