カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

2010.1  環境に優しいセーター

* カシミアおやじのたわごと  

成形のセーター作りは原料を無駄にしない 

地球温暖化防止のために限りある資源を大切にしようと世界中が取り組んでいますね。私がセーターに誇りを持つことのひとつに、『セーターはエコロジー』というのがあります。(ちょっと大げさかな?)

 服は織られた布地を、身頃、袖、襟、ポケットなど、パターンに合わせてカットして縫い合わせることで形を作っていきますね。その時にどうしてもカットロスが出てしまいます。もちろん布帛はカットロスが出るからどうのこうのということでは決してありません。あくまでもセーターはカットロスなどをあまり出さない、資源を有効利用するという些細なセーターの自慢話です。

 編みの話(2005年春、通算18号)でお話したように、成形のセーターは身頃や袖、襟などをパターン通りに編んでいきます。そのパーツをリンキングすることで縫い合わせて一枚のセーターを作ります。

 それらのパーツは広がるところは増やし目で、狭くなるところは減らし目で編むという技術を使いながら編みあげていきますので原則としては糸を切ることはありません。ですから一つのパーツは一本の糸で繋がっているんです。

 原料が高価だった私の子供のころは、母が古くなったセーターをほどいて編みなおすことをやっていました。セーターを解いた糸をカセにして、湯通しして編み、皺を伸ばして糸に戻すんです。それを毛糸玉にするために小学校低学年の頃、『前になら~い!』のように腕を前に伸ばしてほどいた毛糸を持たされたものです。すぐに手が疲れて手が下がってくるので『ほら、手が下がってきたよ、ちゃんと持ってないと作ってあげないよ。前にぃ~ならい!』とはっぱをかけられながら、新しいセーターを編んでもらえる嬉しさと拷問のように手がだるかったのをよく覚えています。

  UTOのセーターの基本は成形ニットですから、糸は基本的にはずーっと繋がっていますので、カットロスは出ません。但し、一部の丸首はきれいなカーブを作りたいというリクエストがあったときは、この部分だけはカットにすることがあります。

 ニットでも布帛のように四角い布地をパターンに沿ってカットするのが『カットソー』です。これは同じニットでもカットしない成形ニットに対して言われるものなんです。だから布帛はカットソーとは言いません。『カットソーはニット』と覚えてください。

 セーターがエコだからといって何が何でもカットしないと主張しているわけでは決してありません。もちろんファッションですから表現が第一、デザインとして必要であればカシミヤのカットソーでもやぶさかではありませんし、必要に応じてカットソーにしますが、安く大量に作る為に手間を省きカットソーにしている商品のなんと多いこと。それでも安い糸なら仕方ないと思いますが、かなり高価な素材の糸でもカットソーにしてしまっているのを見ると悲しくなってきます。

 さすがに普通糸の値段の十倍もするカシミヤのカットソーは殆んど見ませんが、天の邪鬼なので、逆に一度トライしてみたいとも思っています。

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