ホテル ニューグランド
元々旅行が好きで最初の就職先が海外旅行の会社でした。当然宿には興味がありますが特にクラシックホテルが好きです。
宿は泊まることが本来の目的ですがクラシックホテルに足を踏み入れるとそのホテルの歴史の時空を旅している気分になり豪華なホテルより惹かれます。
クラシックホテルに明快な定義づけはないのですが、日本では戦前にオープンしていまだにその面影を残し続けて営業していて泊まれるホテルのことでしょう。明治23年に開業した伝統ある帝国ホテルは建物が3代4代になっているのでクラシックホテルとは呼んでいません。ホテルの営業が終わって建物だけは文化財として残っている軽井沢の三笠ホテルや北海道の豊平館もありますがクラシックホテルとは呼んでいません。
念願が叶ってついに横浜のホテル ニューグランドに泊まってきました。
幕末期、日米修好通商条約で横浜が開港し外国船が多く来航するようになり幕府が定めた外国人居留地に外国人の為に建てられたグランドホテルが出来ました。外国人経営で横浜を代表するホテルで繁盛していたようですが、関東大震災で崩壊してしまいました。荒廃した横浜を立て直すべく、新たに横浜を代表するグランドホテルを建てることになったのがこのホテル ニューグランドです。
ニューと言っても戦前の1927年に建てられたホテルですからとてもシックな建物で、窓の赤いテントが山下公園の緑とよく調和しています。
このホテルで一番好きな処は入り口からすぐに二階へと昇る青い絨毯が敷かれた階段と二階のラウンジです。
シックなカラーで統一された落ち着いた雰囲気、高い天井、ゆったりしたテーブルと椅子、窓の重厚なカーテン。窓からイチョウ並木と横浜の海が見えます。いつも人影が疎らで、みなさん一応に小声で話しています。
山下公園の端に氷川丸が係留されていますが、同時代の1930年北米航路シアトル線に就航した氷川丸の一等船内の内装とこのニューグランドの雰囲気はよく似ていると思います。当時も今もセレブな
空間だと思います。
危険で長い船旅を過ごし横浜に着いて、揺れない床にどんなに安心しただろうかなどと想像を膨らませながら、ノスタルジックな時間を過ごさせて頂きました。