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日本画の山種美術館

もともとは兜町にあり、その後は皇居の千鳥ヶ淵にあった日本画の山種美術館がすぐ近くに引っ越してきました。UTOから自転車で10分ぐらいのところです。

山種美術館は近代日本画の最多のコレクションを所蔵する美術館ですね。
絵を観賞するのは大好きなので時々行きますが、山種美術館というとすぐに城山三郎の小説、『百戦百勝』が頭に浮かびます。

山種入り口.jpg

小説のモデルになった春山豆二こと山崎種二が、コメ相場や株で大儲けをして創立したんですが、あの『売った!買った!』の生臭い商売の世界から日本画の優雅な世界はかけ離れ過ぎていてとても面白いですね。
その、『百戦百勝』で印象的なシーンがあります。主人公が初めて絵を買った時の会話です。

小説の中での記述で・・・・

坂井抱一の掛け軸。値段は5千円。掘り出し物で5年もたたぬうちに倍になるという下りです。

お安が、「あんたなぁ、あほになったんと違うか。5千円も出すなら、立派な家作が5軒は建つやないか」・・・。「もし、ニセモノやったら、あんた、どうする気や」
「そんなことは、絶対にない。信用ある画商から買ったんだから」
「信用があるかないかは、神様がきめることや。
人間にわかるかいな」

結局、坂井抱一の絵はニセモノだったんです。
後日、頭の上がらない、奥さんに言われます。

「それでは、これからはニセモノを買わないことね」
「しかし、そこが難しいのですよ。本物かニセモノかは、立派な鑑定家だって迷うことがあるんです」
「そうかしら」
「そうです」
「でも、わたし絶対にニセモノを買わない法というか、本物だけ買える方法があると思うわ」
首をかしげる豆二に、
「教えましょうか」「死んだ画家のものはだめ、生きている画家に目の前で描いてもらうのよ、これなら、絶対、本物だわ」

いかにも豪快で愉快な話です。この会話はこの小説の主人公や登場人物が非常によく表現されていて、読んでいてニコニコしてしまいました。

玉堂展.jpg

倉敷の大原美術館は、倉敷紡績の創業者の大原氏はスポンサーで画家の児島虎二朗がコレクションし、上野の国立西洋美術館は、松方幸次郎の松方コレクションを中心に集めることであのような素晴らしい絵が集まったんですが、山種のあの膨大なコレクションを自分で選んだのか、誰かサジェッションをしたのか興味があります。山崎は横山大観と親しかったそうですから大観の取り巻きの画家達から購入したのかもしれませんね。

事業で大儲けした企業が、日本の貴重な文化財を買ってくれて、保存し、一般に公開してくれてみんなに見せてくれる。素晴らしいことですね。
 
『美しき日本の風景』というイベントをやっていました。大好きな河合玉堂と東山魁夷が沢山出展され、とっても良い時間を過ごしました。

山種.jpg

外から来られたらJR恵比寿駅から行かれた方が近いと思います。

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