カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

ペンシルビル事情

これは日本の大都会ならではの経験だと思います。
現在わがUTOのオフィスがあるのは骨董通りの中ほどに面したメゾン青南というビルの10階ですが、ここへ引っ越してくる前は、すぐ近くのバックボーンハウスというビルの6階でした。

住所も何階の何号室ではなく6階でした。と言うことは6階のワンフロアーがUTOのオフィスということです。
ワンフロアーというとスゴイ!と思われるかもしれませんが、でもそのワンフロアーは約36平米、12坪なんです。なぁんだ!と思われたでしょう。
実はこのビルは地下1階地上9階建て。ざっと間口4.4メートル、奥行き9メートル(一階は15メートル)といったところです。高さは部屋の中で2メートル30センチはありますのでワンフロアーが大体2.5メートルと見積もるとなんと22メートル以上になります。

バックボーン ペンシル.jpg

正面から見た図を切りぬいてみました。
同じような高さのビルが並んでいるので全然違和感を感じませんが、このビルのシルエットは超高層ビルと同じです。ペンシルビルとはよく言ったものですね。
このバックボーンハウスの前にいた渋沢ビルはワンフロアーが10坪で9階建てでしたからもっと細いビルでした。

おかげで眺めは抜群です。表側は骨董通りの賑わい、恵比寿ガーデンプレイスのビル群。裏側は岡本太郎記念館を初め緑の住宅街と赤坂・虎ノ門界隈の本物の超高層ビル群がよく見えました。
難点は揺れることです。
地震はもちろんですが風が強いとかなり揺れます。地震はすぐに収まるんですが、台風の時や冬の季節風の強い日は一日中揺れているということがあります。こんな日は机に向かっていても揺れを感じて体が緊張するのか結構疲れます。

フロアーごとの契約ですからエレベーターも各階専用になっていて、1階にあるエレベーターの鍵を閉めるとその階には停まらなくなります。ボタンを押しても『ランプが点灯しない階には停まりません』とエレベーターが音声でご丁寧に教えてくれます。トイレももちろん専用ですから安心。フィッティングルーム代わりにも使っていました。
裏の螺旋階段は空中に架かる梯子みたいでめちゃ怖いです。

これぞ日本の大都会ならではの特徴?名物?
それにしてもこんな狭いところによく建てられるなぁと感心してしまいます。隣との隙間は殆どありません。足場を組めるようなスペースもないような状況でも建てるんだからすごい技術ですね。

狭い都心の事情ですから、こんなビルを10棟ぐらいをまとめて緑や駐車スペースのある効率のいいビルにしたほうがいいと思いますが、そんなケースになかなかお目にかかりません。地上げという言葉が暗いのかな。自分の土地やビルを持たない貧乏人の素朴な疑問です。

バックボーンハウス.JPG

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