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青山銕仙会能楽研究所

表参道の交差点からみゆき通りを下っていくと最初の信号のある交差点の角に三角のピラミッドのようなガラス張りのプラダのビルがあります。

今回はそのプラダの斜め前にある一見目立たない建物です。普段通っている人もすぐには思い出せないんじゃないかと思いますが、ここは銕仙会能楽研究所という能の劇場なんです。
ファッションの街青山と純日本的伝統芸能の面白い取り合わせです。

私も週に何回かは前を通るんですが能などという高尚な伝統芸能にはトンと縁がありませんから中には入ったことはありませんでした。
コンクリート打ちっぱなしのシックな建物の入り口に『社団法人・銕仙会能楽研究所』の小さな表札がかかっているし、建物の横に『楽屋入り口』の表示もあるんでホールの所在は知っていました。
その能楽堂に思わぬきっかけで入る機会ができました。

鉄仙会.jpg

20代前半の頃からよ~く知っていて、僕がハッチャンと呼んでいる女性がきっかけです。
当時、『いまどき若い娘が三味線なんて古くせぇ』なんて憎まれ口を言って、ひとつ年上のハッちゃんによく怒られていました。
そのハッちゃんは今では西松布咏というその世界ではCDも出し、多くの海外公演もこなし大活躍している女性なんです。
時々わが社に来てくれてセーターを買ってくれるんですが、話をしてるといつの間にか二十代の昔に戻って、『ハッちゃんの三味線のCD聴いても、何言ってんのかちっとも解んないよ』とか『男と女が惚れたはれたのチントンシャンは俺の趣味じゃないよ』なんて悪態をつくので、『アンタ!日本人でしょ!もっと日本の文化を勉強しなさい!』と怒られてばかりです。

そんなハッちゃんからUTOの近くの青山の銕仙会で『地唄と舞』をやるからと誘われ、西松布咏先生に変身したハッちゃんの公演に行くことになった次第です。
解らないなりに居眠りもしないで最後まで拝聴しました。公演内容の評価などというのはド素人の私の出る幕ではありませんが、はじめて入った銕仙会能楽研究所はなかなか興味深く、いい経験になりました。

印象的だったのが、靴を脱いで上がること。
コンクリートの打ちっぱなしと白木の内装、屋根つきの能舞は幽玄でいい感じ。
客席は階段状の畳敷き。観客は腰掛けたり畳に座布団で座ったり。背もたれがないので結構辛い。若い人も結構いる、ということは年配者がいっぱい。
男性トイレの便器がアメリカの空港にあるようなでっかい西洋人使用の超特大。
こんなことで感心しているということは日本を知らなさ過ぎ、日本の伝統文化に対する知識の無さに反省しきりでした。

青山・表参道界隈 004鉄仙会のザクロ.jpg

毎年秋になると入口の石榴の実がとっても可愛く、『いつまで有るか』と、通るたびに気にかかります。

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