カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

1995.4 壱から弐・参へ (たわごと・つれづれ)

*カシミアおやじのたわごと *

  無いないづくしで始まった小社。bhf通信二号で紹介した、零から壱になった途端にバブルが弾けてしまいました。「ちょっと待ってよ!」という感じです。

 時代と言うものは随分と厳しい勉強をさせてくれるものです。悪戦苦闘、七転八倒、弱肉強食、等々あらゆる経験をさせてくれます。

  ファッションビジネスは、いったいどんなになっていくんだろうと考え込んでしまいますね。絶対に今までのようにはいかないだろうとは理解できても、なかなか明快な答えは出てきません。通産省や経済企画庁の予想のよるとブティックの売り上げは、1991年に比べると2001年には60パーセント減になってしまうらしい。恐ろしい予想です。

 この厳しい中で21世紀まで生き残っていく為に何かヒントはないかと先輩の欧米に目を向けると恐ろしい見本がありました。

なんと欧米には日本のようなアパレルはほとんどないんですね。ということは我々アパレルは生きていけないと言う事か?と、愕然としてしまいます。

 

         英国    スメドレー本社にて 

ヨーロッパ等の工場には、ちゃんとアパレル機能があるんですね。これだったら工場から直接仕入れたほうが良いに決まっていますよね。

 流通は短くなる。これは今では避けて通れない現実。もちろん一足飛びにすべてがそうなるわけではないだろうが、それを踏まえて自分たちはどのように軟着陸するか?

  昔、「そうは問屋が卸さない」と云売った諺があったけど、以前のアパレルや問屋は、それなりに魅力ある新しいファッションを次々と生み出して、リスクを冒して商品を作っていましたよね。今のコピーデザインの受注生産では「そんな問屋は欲しくない」といわれても仕方ないか?

  イギリスのニット工場の親父さんは「ノー」がやたらと多い親父さんでした。

 「それはやらない。これは不得意。そんなに沢山はやれない。やりたくない」にビックリしました。それよりショックでした。日本の工場だったらほとんど「イエス!」というケースなのに。「じゃあ、何を作ってもらえるの?」というと、目を輝かして「我々の得意のものはこれ!」とい明確に言うのです。決して妥協しないんです。そして最後に、「このモノ作りと売り方を理解して共感してもらっているから世界中から買いに来てくれるんだよ。ヨーロッパからもアメリカからも、そして君のように遠い遠い日本からも」。

 これは儲かるからとか便利だからと言う事を超えた、モノ作りき対する誇りと自信だと思います。とってもいい見本でした。

  マーケットや時代が要求しているからという言い方は学者や評論家の言葉。マーケットとはお客様お一人お一人であり、誰々さんのこと。

 要求しているということは、言ってくれることではなく、黙って、「う~ん、要らない、またね」というだけ。心して聴こう。

 時代と供に半跏する勇気を持とう。変化とは未知との遭遇と、自分に言い聞かせます。

 

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