2008.2 山梨工場へのみちすがら
* カシミアおやじのたわごと *
山梨に工場が出来てもう2年が経ちました。緑の中を走る山梨への中央線の道すがらは毎日の通勤とはちがう小旅行です。
自宅のある武蔵小金井駅からの高尾行きは、都心と逆方向なので空いてると思いきや新宿方面行きほどではなくても学生などの利用でかなりの混雑です。でもさすがに立川、八王子を過ぎると乗客は少なくなり高尾に着くころはまばらになってしまいます。JRでは高尾までが中央線管内でここからは中央本線です。
電車を乗り換え、小淵沢行きは大体ボックスシートに一人のガラガラ状態。仕事をしたり、車窓からの季節の移り代わりを堪能したりできる貴重な時間です。しかし行楽シーズンの土曜日などは行楽客で満員。5月の連休の頃、大月まで立ったままということもありました。
高尾を出て約1時間、長い笹子トンネルを抜けると今まで両側に迫っていた山が無くなりパッと空が広がります。勝沼ぶどう郷の駅のホーム辺りから左下に甲府盆地が一望に開け素晴らしい眺めです。特に冬晴れの時の眺めは抜群で、三千メートル級の南アルプス峰々が遠望できるので通る度に『今日は見えるかなぁ』と楽しみです。春、ここのホームの桜もきれいですよ。
鉄道の旅が好きなので日本のいろんな車窓を見ましたが、ここ勝沼ぶどう郷駅から塩山の間の眺めは抜群で、日本三大車窓に匹敵すると僕は思っています。
三大車窓といわれた北海道の狩勝峠からの眺めは残念ながら列車が通らなくなり、僕が通ったときは霧で眺める機会はありませんでしたが、篠ノ井線の姨捨からの眺めや肥薩線の高千穂の眺めに負けずとも劣らない眺めだと思います。両方とも高所からの遠望が売りだと思いますが、ここからの眺めには南アルプスの眺めがプラスされ十分に匹敵する眺めです。ただ残念なのは時間が短いことでしょう。一駅を駆け下る間なので気をつけていないとすぐに通り過ぎてしまいます。
塩山に向けて一面のぶどう棚を見下ろして駆け下ると、今まで隠れていた富士山の頭が見えてきます。4月に入って勝沼ぶどう郷の桜が終わると桃の花に変わり、目に飛び込んでくるピンクの桃に気分が華やいできます。石和温泉駅のホームは春のバラが楽しみです。
帰りはほとんど日没後の時間。塩山を過ぎ勝沼ぶどう郷への登りにかかると真っ暗な車窓に街の明かりが広がって宝石箱のようにきれいです。この眺めを見終えたらなんとなく安心して読書タイムに入りますが、この頃は眠ってしまうこともあります。疲れもあるけどはやり年のせいなんでしょうか。