カシミヤニットのカスタムオーダー UTO

2011.1 30年ぶりの平泉

* カシミアおやじのたわごと *

 世界遺産に登録された平泉を久しぶりに訪れました。

 ここを最初に訪れたのは30年ぐらい前の1969年、学生の夏休みに東北一周周遊券でユースホステルに泊まりながら東北を巡ったときです。

  カニ族という言葉がありましたが、大きなリュックを背負っているので列車の通路を歩くときにリュックが背もたれに当たるので横歩きにならないと歩けない、まさにカニ族のスタイルで炎天下の中を平泉駅から毛越寺の庭園に感動して後、義経堂から中尊寺まで歩きました。

 義経堂からの北上川の流れが望まれ、夏なのに秋のような筋雲出ていて、東北だから秋が早いのかなと、旅情に浸った記憶があります。

 普段俳句などとんと縁がないガサツなくせに、平泉と言ったら、義経堂の傍らにあった、芭蕉の『夏草や兵どもが夢の跡』という句と、中尊寺の金色堂での、『五月雨の降りのこしてや光堂』の二つの句が頭に浮かぶように、頭に刻まれた記憶があります。あの頃は純粋で真面目に勉強する旅をしていたんだなぁ、と懐かしい思い出です。

 

 その後、1999年に同じ様な順序で、平泉駅から毛越寺、義経堂、中尊寺を巡りました。30年ぶりの平泉は、観光地なのにちっとも俗化していないのに安心しました。このときは2つの事がとっても記憶に残っています。

 ひとつは毛越寺に立派な本堂が建っていたこと。深い緑の庭園に30年前を思い出しつつ、松の間からみる本堂は柱の朱色がやけに鮮やかでどこからか借りてきた様な感じでしたが、30年前は毛越寺は本堂が無く物足りなく感じていたので『本堂が出来て良かったなぁ』と思いながら、『100年もすれば渋い色になるさ』と思った覚えがあります。

 もう一つは中尊寺に行く道すがらにあったお蕎麦屋さんです。平泉駅から田圃の中の無量光院の跡を観て、東北本線の線路を横切ってすぐ脇を入ったところで見つけたお蕎麦屋さんです。失礼ながら、平泉にしてはお洒落な店だと思って入って大当たり。漆黒の高い天井とお洒落な内装、伊賀焼の陶板に盛られた蕎麦がとっても美味しかった。

 食事に疎い私が今でも覚えているぐらいですから、かなり印象深かったと思います。

 昨年、三度目に訪れた平泉は世界遺産になっていました。平泉が世界遺産になった時はとっても嬉しく、『是非、お祝いに参上しなくては』という心境でした。気になっていた毛越寺の本堂は朱色が落ち着いて周囲に馴染んでいて嬉しくなりました。

 この上は宇治の平等院より立派だったという無量光院も復元して欲しいものです。

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