15億枚という悲しい廃棄の衣料品
「衣料品が毎年15億枚も廃棄される」というショッキングな報道がありました。ファッション業界のビジネスが社会問題になっていますが、残念ながらこれが巨大なファッションビジネス業界を支えているのが現実です。
プレタポルテなどの華やかなコレクションは流行やトレンドを発信すると報道されていますが、元々の目的はバイヤーに来てもらい、彼らに披露して仕入れのご注文を頂くことが目的で、あの華やかなファッションショーの裏では厳しい受注合戦があるのです。
バイヤーたちはそのショーを基に次シーズンの売上分の仕入れ発注をするのです。なぜなら、アパレル(ブランドのスポンサー)は注文品を製造しなければなりません。その製造期間が半年はかかるので、8月9月に立ち上がる秋冬物のショーを2月や3月にやらなければならないのです。
半年も前から発注するバイヤーは大きなリスクを負います。そのリスクを低減するためにもイメージや話題を作らなければなりません。それには華やかなショーを演出し宣伝をする莫大な費用が掛かるのです。
「見込み生産、売減らし、残品バーゲン」のサイクルは、ファッション業界の苦しい宿命で、ショーは新しいデザインを披露することで前年のファッションの服をあたかも「あれはもう古いので今年の商品を買って!」と言っているかのようです。毎年新しい商品を買ってもらうことで巨大なファッションビジネスは維持されてきました。
物が乏しかった時代の大量生産大量消費は社会に貢献したと思います。しかし物余りの時代になった今は、気に入ったものを大事に長く愛用する「量より質」の時代に入っていると思います。
売り場にも出してもらえず廃棄される膨大な量の新品の服があると聞くと、もったいないを通り越して悲しいとさえ思います。
UTОのビジネスの基本はオーダーです。お客様のご要望でお作りするので、1着も廃棄しません。
例えサンプルも本番の最高級のカシミヤ原料で作ります。正規販売しないと言うだけで商品に遜色は全くありません。そのサンプルはアウトレットになった理由を書き、訳あり価格で販売しています。これこそ本来のアウトレットだと思っています。好評で待っていてくれる人がいらっしゃるほどです。
最高の素材を使い、職人が一枚一枚丁寧に作りお客様にお届けするのは大きな経済には貢献していないのかもしれないけど、SDGSの基本だと思っています。